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『ブラック・スワン』俳優とダンスの究極の関係を考えさせる

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ブラック・スワン』俳優とダンスの究極の関係を考えさせる

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世界的ダンサーからスター俳優への道



 『ブラック・スワン』ではナタリー・ポートマンのスター性と演技力、『フラッシュダンス』ではジェニファー・ビールスの美しさと新進スターの初々しさが作品にとって的確と判断されたわけで、それは作品の成功のうえでは正しい選択だっただろう。



『ブラック・スワン』(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


 とはいえ、たとえばアクションのジャッキー・チェンのように、ダンス映画においても究極テクニックを発揮する「ダンサー=俳優」は存在する。ミュージカル黄金期のフレッド・アステアやジーン・ケリーが好例だが、ダンス界から映画界へ進出し、ダンサーの役で成功を収めた人たちだ。


 日本映画でいえば、『Shall we ダンス?』の草刈民代。ハリウッドでは、ミハイル・バリシニコフが挙げられる。旧ソ連のラトビア出身で、超絶技巧で世界的人気を得たバリシニコフが、1977年の『愛と喝采の日々』のダンサー役で本格的スクリーンデビュー。いきなりアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。劇中ではバレエの名作「海賊」などでスーパー級テクニックを見せたうえに、演技の才能も発掘された、というわけ。


 バリシニコフは、『ホワイトナイツ/白夜』(1985年)、『ダンサー』(1987年)でも主人公のダンサーを熱演。その後、ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」では、ダンサーから「俳優」に変貌していた。


 また、フィギュアスケートから俳優に転身する特殊な例もあった。長野オリンピック金メダリストのイリヤ・クーリックである。プロスケーターに転向した後、ダンス学校を舞台にした2000年の「センターステージ」で、主要メンバーの一人として映画デビュー。まさしくプロ級のテクニックがダンサー役に生かされていた。


 近年のダンサーを主人公にした作品『ハートビート』や『ポリーナ、私を踊る』などは、あえてプロダンサーを起用することで、演技経験よりもダンスのリアリティを追求している。しかしこれらは、世界的なヒットを目指すハリウッドの本流作品ではない。『ブラック・スワン』のように、「ある程度、踊れる」スターが主役を張ることで、ダンサーの物語はグローバルな人気を獲得するポテンシャルをもつことになる。


 ナタリー・ポートマンやチャニング・テイタムの他にも、シャーリーズ・セロンらダンスの経歴をもつスターは大勢いるわけだから。あるいはバリシニコフのようなダンス界のスーパースターが、満を持して映画に進出することで、踊れるスター俳優が誕生する(その意味では、俳優に転身したセルゲイ・ポルーニンに期待したい)。


 いずれにしても、スクリーンで一級のダンスを見せることは、ひじょうに高いハードルとなる。だからこそ、スター俳優たちも、肉体の限界に挑戦したくなるのだ。




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(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved. 


※2017年10月記事掲載時の情報です。

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