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『ビッグ・ウェンズデー』サーフィン映画の原点にして金字塔。そして衝撃の日本語主題歌

『ビッグ・ウェンズデー』サーフィン映画の原点にして金字塔。そして衝撃の日本語主題歌

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これが代表作となったキャストたちの輝き



 たしかにサーフィンの映像は、いま観直すと物足りないかもしれない。しかし『ビッグ・ウェンズデー』が永遠の輝きを保っているのは、青春映画としての普遍的なテーマが存在するから。メインキャラクターとなる3人の男の友情が、否が応でも共感を誘う(強いて言えば、女性キャラクターがサブ的なのが現在にそぐわないが……)。


 サーフィンのメッカ、ポイント岬で最高のサーファーと呼ばれるマットと、サーフィン仲間のジャックとリロイ。60年代初頭を背景にした友情物語は、ベトナム戦争も深く関わり、軽快かつエモーショナルに展開していく。そして何より、演じるキャストの持ち味が、役と奇跡的レベルでマッチしているのだ。




 天才サーファーながら、酒浸りの日々を過ごすなどやや自堕落なマットは、カリフォルニアのサーファーの「レジェンド」と言われ、その名がサーフボードのブランドにもなった、ランス・カーソンがモデル。演じたジャン=マイケル・ヴィンセントは、すでに日本の映画ファンに知られる存在ではあったが、このマット役で大ブレイクした。見た目は精悍だが、どこか頼りなさげで母性本能をくすぐる。しかも完璧なまでに鍛え上げられた筋肉美。子供の頃からサーフィンに親しんでいたヴィンセントは、基本的なサーフィンのシーンは自らこなしていた。ちなみに劇中に登場するマットの娘は、ヴィンセントの実の娘、アンバーである。


 本作の後、ドラマ『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』(84-86)などで人気をキープするも、近年はアルコール依存や片足切断などで俳優としてのキャリアが停滞していたヴィンセントは、2019年、74歳で生涯を閉じた。


 3人の中で最も真面目な性格のジャックは、マットやリロイが病気のフリをして兵役を逃れるなか、一人だけベトナム戦争に従軍する。演じたウィリアム・カットは、すでに『キャリー』(76)で、キャリーとともにブタの血を浴びるトミー役で映画ファンには人気があった。本作の後は、スーパーヒーローの主人公を演じたTVシリーズ『アメリカン・ヒーロー』(81-86)など当たり役を獲得しつつ、やはり近年は脇役での活動がメイン。このジャック役も、有名サーファー、ケンプ・アーバーグが投影されているという。そのケンプの弟、デニス・アーバーグが本作の共同脚本にクレジットされている。




 ヴィンセント、カットと比べ、むしろリロイ役のゲイリー・ビジーが、地味ながらも長いキャリアを成功させているようだ。役柄では3人の中で、ちょっと変わり者。「お笑い」担当でもあったが、その強烈な個性は近年の出演作でも発揮されているし、息子のジェイク・ビジー(父親によく似ている)も、『ザ・プレデター』(18)でメインキャラの一人を演じるなど俳優として活躍中。ちなみにウィリアム・カットも、ゲイリー・ビジーも、本作以前にサーフィンの経験があったそうだ。


 マットの恋人ペギー役のリー・パーセル、ジャックの恋人サリー役のパティ・ダーバンビルも、公開当時は期待の若手スターという立ち位置だった。ダーバンビルは、本作の前に出演した『ビリティス』(77)で、女性同士の恋を大胆なヌードにも挑んで話題になっていた。彼女たちは現在も、映画やドラマの小さな役で見つけることができる。また、ナレーターを務めたのが、後に『エルム街の悪夢』(84)でフレディ・クルーガーを演じたロバート・イングランドである。



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