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『イエスタデイ』ダニー・ボイルとリチャード・カーティスの、ビートルズ愛に溢れたロマンチック・コメディ

©Universal Pictures

『イエスタデイ』ダニー・ボイルとリチャード・カーティスの、ビートルズ愛に溢れたロマンチック・コメディ

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『イエスタデイ』あらすじ

“イエスタデイ<昨日>”まで、地球上の誰もがザ・ビートルズを知っていた。しかし今日、彼らの名曲を覚えているのは世界で一人、ジャックだけ・・・ジャックは突然、信じられない不思議な世界に身を置くこととなってしまった!ジャックは、イギリスの小さな海辺の町に住む、悩めるシンガーソングライター。幼なじみで親友のエリーから献身的に支えられているもののまったく売れず、音楽で有名になりたいという夢に限界を感じていた。そんな時、世界規模で瞬間的な停電が起こり、彼は交通事故に遭う。昏睡状態から目を覚ますと、この世には史上最も有名なバンド、ザ・ビートルズが存在していなかったことになっていることに気づくが・・・。



※2019年10月記事掲載時の情報です。


Index


映画全体に散りばめられたビートルズのエッセンス



 人はビートルズを前にすると思わず、素直な気持ちになってしまうものかもしれない。ビートルズの曲をモチーフにした『イエスタデイ』(19)を見て、そう思った。<ビートルズが消えてしまった世界>で起こる出来事を描いたファンタジーにして、ロマンティック・コメディ。売れないミュージシャンの主人公が、ある事故の後、世界からビートルズが消えていることに気づき、彼らの曲を歌うことで人気者となる。この設定はユニークだが、物語そのものは、ものすごくひねりがあるわけではない。登場する曲もビートルズの定番曲がずらり。もっとマニアックな曲を使って、マニアックな物語にもできたかもしれない。


 しかし、ビートルズ・ファンを公言する監督ダニー・ボイルと脚本リチャード・カーティスは、すごく素直なファンの気持ちでこの映画を撮ったのではないだろうか?若い時に彼らの歌を初めて聞いた時の喜びを観客と分かち合いたい!だから、設定は少しだけひねりつつも、分かりやすくて、素直な物語にしよう。その方がビートルズのいた60年代の(今より、のどかな)雰囲気に近いと考えたのかもしれない。


ビートルズ『イエスタデイ』PV


 また、あえて有名曲を選ぶことで、こんな曲さえも知られていない時代が来てしまった時の感覚を分かりやすく伝えたかったのだろう。最初に主人公ジャックが歌うのは「イエスタデイ」。軽い気持ちでギターを片手に口ずさんだら、みんながそのすばらしさに衝撃を受け、「いつ書いたの?」と驚く。これがビートルズのマニアックな曲だとジョークが生きない。いろいろ考えた上であえて有名曲を中心に選んだのだろう。


 物語の途中、ビートルズゆかりのリバプールを訪ねる場面なんて、お上りさん的な楽しさがいっぱい。きっと、ボイルも、カーティスも、ビートルズを初めて体験した頃の初々しい気持ちに戻って、一緒に旅に出たのではないだろうか。ストロベリー・フィールズやエリナー・リグビーの墓など、リバプールのビートルズゆかりの聖地めぐり。これはもうファンが一度は体験してみたいと考えること。


ビートルズ『エリナー・リグビー』PV


 ふだんはもっとひねりのある映画を作っていたボイルだが、今回は無邪気な気持ちでビートルズの世界に向き合ったのだろう。素直な楽しさが全編に満ちている。ビートルズの曲を自分たちの映画に持ち込み、かつてのメンバーたちの承認も得て、自分たちが選んだ男優(ヒメーシュ・パテル)に歌わせる。音楽好きであるボイルとカーティスは、そこに贅沢な喜びも見出したはずだ。



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