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尊敬する指導者『マルコムX』を描くため、スパイク・リーが引き寄せた運命

(c)Photofest / Getty Images

尊敬する指導者『マルコムX』を描くため、スパイク・リーが引き寄せた運命

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メッカ巡礼を描くということ



 スパイク・リーは、メッカ巡礼をした後のマルコムXが物語の肝となることを知っていたため、メッカ巡礼シーンは本格的に描くことを決めていた。しかし、ワーナー側はそれに強く反発。とにかく製作費がかさんでいたのだ。旅費削減のために連れていくスタッフの数を減らすことや、ロケーション地の変更などを求めたが、スパイク・リーがそれを聞くわけもなかったのである。


 スパイク・リーは商業デビュー作『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』(86)の時と同じく、自分で製作費をかき集めることにする。デビュー時と1つ大きく違うのは、既に発言力のある人気監督となっており、人脈も多くあったという点だ。テレビCMで共演したNBAのマイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソン、歌手のプリンスやジャネット・ジャクソンなどのスーパースターに声をかけ、賛同とお金を提供してもらった。公開前からマルコムXのTシャツや帽子が流行っていたと、冒頭に書いたが、あれはマイケル・ジョーダンが身に着けて流行らせたものだった。


『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』予告


 彼らのスターパワーと資金力が、あの感動的なメッカ巡礼シーンとなっているのである。そして、ドキュメンタリー作品ではないアメリカ映画として、初めてメッカでの撮影が許された貴重なシーンなのだ。



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