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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』アカデミー賞主演男優賞と撮影賞へとつながる、ポール・トーマス・アンダーソンがフィルム撮影にこだわる理由

(c)Photofest / Getty Images

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』アカデミー賞主演男優賞と撮影賞へとつながる、ポール・トーマス・アンダーソンがフィルム撮影にこだわる理由

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監督の意外な狙い



 ポール・トーマス・アンダーソン監督は『ハードエイト』(96)で長編デビュー以来、世界の著名な映画賞を受賞し続けてきたが、アカデミー賞には縁がないままだった。しかし2008年、第80回アカデミー賞において、ついに主演男優賞と撮影賞を受賞するに至ったのが、本作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』だ。


 監督の名前に負けず劣らず長いタイトルの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』とは、旧約聖書からの一文で、「いずれ血を見ることになる」というニュアンスの言葉らしい。アメリカ文学作家アプトン・シンクレアの「Oil!(石油!)」を原作にした映画で、20世紀初頭のアメリカを舞台に、石油採掘に「異常なまでに」執念を燃やす男の一代記である。


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』予告


 この主人公を演じるのが、完璧に役に入り込むメソッド系アクター代表、ダニエル・デイ=ルイス。本作で二度目のアカデミー賞主演男優賞受賞、その後『リンカーン』(12)では、なんと史上初の三度目の主演男優賞を獲得することになる。本作の役名もダニエル(・プレインビュー)だが、自分以外を一切信じず、自分の行動の行く手を阻むもの、というよりも周りのもの全て、家族、宗教まで、徹底的に糾弾して前進し続ける強烈なキャラクターである。


 インタビューによると、監督はダニエルをモンスターのごとく描こうと考え、なんとドラキュラのようなアイコンさえイメージしたという。要は「ホラー」というジャンル映画にしようとしていたらしい。


 人はなぜホラー映画を見に行くかというと、他人の不幸を見たいからである。交通事故に遭遇するとその現場を見てみたい気持ちを抱いてしまうように、ダニエルが己の欲望を暴力的なまでに叶えようともがき苦しむ姿を見て欲しいと思った、とポール・トーマス・アンダーソンは言う。本作は、ダニエルというモンスターがアメリカの大地と人間を相手に奮闘し、苦悶する姿を追って行く映画なのだ。



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