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『殺人の追憶』若き巨匠ポン・ジュノ監督初期の傑作、ソン・ガンホ演じるパクが見たものとは?※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『殺人の追憶』若き巨匠ポン・ジュノ監督初期の傑作、ソン・ガンホ演じるパクが見たものとは?※注!ネタバレ含みます。

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事件に落とされたアメリカの影



 そんな警察署に、キム・サンギョン演じるソウル市警のソ刑事が赴任してくる。比較的進歩的な考えを持つ、若手であるソは、パク刑事らの乱暴でずさんな捜査を批判し、データ主義に基づいた捜査を行おうとする。パク刑事は当然、彼の行動に不満を覚え、ふたりは犬猿の仲となっていく。しかし、このような騒動が裏で起こりつつも、連続殺人事件は被害者を増やしていき、一向に解決しないのである。


 焦るソ刑事は、捜査にDNA鑑定を持ち込もうとする。アメリカの機関に犯人のものと思われる精液を送り、結果を待つのだ。大事なところをアメリカに頼るあたり、韓国という国家が、その成立過程からアメリカの権力の大きな影響下にあることを、ここで暗示しているように感じられる部分である。この問題意識は、後に『グエムル-漢江の怪物-』(06)によって、より先鋭化されたかたちで表出することになる。


『グエムル-漢江の怪物-』予告


 雨の夜に起こる犯行、夜のチェイスシーンにくわえ、報道陣を巻き込んだ事件現場でのスペクタクルなどなど、本作が愛されるのは、ひとつひとつの演出の見事さが大いに影響していることは言うまでもない。そこに、音楽を担当した岩代太郎のピアノの旋律がかぶさることで、本作は娯楽映画としての面白さとミステリアスな雰囲気が共存する、深みのある映画になっているのだ。



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