1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. マイ・インターン
  4. 男女共存を描いた『マイ・インターン』でロバート・デ・ニーロが受け持つ役目とは?
男女共存を描いた『マイ・インターン』でロバート・デ・ニーロが受け持つ役目とは?

(c) 2015 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.

男女共存を描いた『マイ・インターン』でロバート・デ・ニーロが受け持つ役目とは?

PAGES


当初はジャック・ニコルソンのはずだった?



 仕事をプライオリティのトップに置き、子育ては夫任せにしていたジュールスの生活に綻びが生じた時、唯一の相談相手になるのがベンだ。部下なのに上司のような、血は繋がってないのに父親のような、出会って間もないのに親友のような独特の立ち位置は、人生の酸いも甘いも噛み分けてきた、彼ならではの持ち味。



『マイ・インターン』(c) 2015 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.


 そこを、いつもながらまるで演技していないような自然さと、抜群のユーモアと、若々しく、時には可愛く見える表情で表現するデ・ニーロがあり得ないくらいチャーミングだ。当初、マイヤーズはベン役に『恋愛適齢期』でコラボして以来、次回作を模索していたジャック・ニコルソンを希望していたが、ニコルソンの健康上の理由でデ・ニーロに落ちついたという経緯がある。だが、結果的にデ・ニーロで正解だったと思う。ニコルソンだとジュールスの恋人役まで請け負ってしまう危険性があるからだ。



アン・ハサウェイにとっては『プラダを着た悪魔』の逆設定



 また、アン・ハサウェイにとって、本作は代表作『プラダを着た悪魔』(06)の逆バージョンとも言える作品だ。あの時、鬼のような女性上司にこき使われた彼女は、今回、遥か年上の男性を部下に従えることで、自らの弱さを曝け出し、おまけに、メリル・ストリープ演じる鬼編集長からは遂に得られなかった友情まで手に入れるのだから。


『プラダを着た悪魔』予告


 この男女関係の描き方は重要だ。職場では男性の上に立ち、女性の時代をリードしているかに見えるジュールスが、やがて挫折を知って身を寄せる先が、長く男性社会の中心で生きてきたベンだったという皮肉。この年齢差を飛び越えた男女共存というテーマ設定が本作の秀逸な点だ。因みに、#MeToo運動がハリウッドから飛び火してアメリカ社会を席巻するのは2017年のことである。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. マイ・インターン
  4. 男女共存を描いた『マイ・インターン』でロバート・デ・ニーロが受け持つ役目とは?