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『ランブルフィッシュ』80年代青春映画ブームの中の実験作は成功か失敗か?白黒フィルムに込められた監督の想いとは

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『ランブルフィッシュ』80年代青春映画ブームの中の実験作は成功か失敗か?白黒フィルムに込められた監督の想いとは

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『ランブルフィッシュ』あらすじ

姿を消していた、モーターサイクルボーイ(ミッキー・ローク)が、ある日突然街に戻ってくる。弟のラスティ・ジェームズ(マット・ディロン)は、ギャングのボスとして皆の尊敬を集める兄に憧れ、ギャング団の復活を夢見てケンカに明け暮れる毎日を送っていたが、久々に会った兄は以前とは別人になっていた…。


Index


80年代アメリカ青春映画の中のカルト作品



 1980年代。アメリカではアクション映画や青春映画が量産され、ハリウッドメジャースタジオは若い層の取り込みに成功した。とりわけ青春映画は〝ブラットパック〟(小僧っ子集団という意味)と呼ばれる若いスター達がこぞって主演し、81年に開局されたMTVの後押しによって主題歌のMVが公開前に大量にオンエアされ、優れた宣伝効果をもたらした。ジョン・ヒューズ監督に代表されるコメディタッチの群像劇メロドラマが幅を利かせるなか、1983年に公開された本作『ランブルフィッシュ』は一風変わった作風で独特の存在感を放ち、いまだに根強いファンを持つカルト的な青春映画である。


 舞台は高校生のよくある日常だ。しかしカラーではなくモノクロフィルムで切り取られた画は、どこか人工的で白昼夢のような印象を受ける。当時人気のマット・ディロンやダイアン・レインのような若きスターが出演しているが、ありがちな恋愛物語ではないし、むしろ彼らは出番こそ多いものの準主役な気もしてくる。泣けるオーケストラは流れず、カテゴライズの難しい、変則なパーカッションのリズムが全編を包み、物語を牽引していく。躍動感にあふれた爽快なカタルシスはなく、男子特有のナイーブさと大胆さに満ちた、じわじわとジャブのように効いてくる、小粒だが強い印象を与える映画だ。


『ランブルフィッシュ』予告


 さぞかし若い監督がやりたいことにこだわり抜いて作ったのかと思いきや、全然違う。あの『ゴッドファーザー』(72)『地獄の黙示録』(79)で有名なコッポラ監督である。誇大妄想的な歴史絵巻ばかり撮っているようなコッポラが、なぜ本作のような低予算・実験的な映画を作ることになったのか。監督の波乱万丈なフィルモグラフィにその答えがある。



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