1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ファーゴ
  4. 『ファーゴ』幸せは欲を超えたところにある。コーエン兄弟の傑作、その魅力
『ファーゴ』幸せは欲を超えたところにある。コーエン兄弟の傑作、その魅力

(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

『ファーゴ』幸せは欲を超えたところにある。コーエン兄弟の傑作、その魅力

PAGES


『ファーゴ』あらすじ

ノース・ダコタ州ファーゴ。多額の借金を負い生活が破綻しそうな自動車セールスマンのジェリーはとんでもない解決方法を思いつく。前科者二人組のカールとゲアに妻を偽装誘拐させて自動車業界の大物である義父から身代金をだまし取ろうというのだ。しかし手際良く偽装誘拐など出来そうに見えない二人組は、案の定、警官と目撃者を撃ち殺して連続殺人事件に発展させてしまう。事件の解決に当たるのは、妊婦の女警察署長マージ。犯人の残した証拠を丹念に追及し、次第にジェリーに照準を合わせていく。果たして、事件はどういう決着を見るのだろうか?


Index


コーエン兄弟の傑作、その魅力の秘密



 冬になると見たくなる映画があるとすれば、雪国育ちの筆者にとって『ファーゴ』(96)は、そのひとつ。言わずと知れた、ジョエル&イーサンのコーエン兄弟の代表作だ。舞台は兄弟の故郷でもある米ミネソタ州。荒涼とした寒々しい雪景色が、とにかく鮮烈な印象を残す。


 改めて『ファーゴ』のストーリーを振り返ってみよう。借金を抱えたカーディーラー・ジェリーが、妻の偽装誘拐を画策し、ふたりのならず者カールとゲアを雇う。妻の父は成功した実業家で、身代金を出すのは容易なはず。かくして計画は実行されるが、カールとゲアが逃走中に警官ら3人を殺害するハメになったことから歯車が狂いだす。捜査に当たった身重の警察署長マージは冷静な推理で、少しずつ事件の真相に迫る。一方、身代金の受け渡し時にも不測の事態が起こり、さらなる死体が転がることに……。


『ファーゴ』予告


 映画の主人公は一応はマージだが、物語の3分の1を経過してから彼女が登場するので、むしろ群像劇というべきだろう。欲に憑かれてしまった人々が右往左往し、その結果悲劇が拡大していくストーリーはサスペンス調だが、コメディでもあり、同時にリアルな人間ドラマでもある。物語も寒々しいが、それだけでは終わらない。1996年度のアカデミー賞では7部門にノミネートされた、そんな本作の魅力を改めて検証してみよう。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ファーゴ
  4. 『ファーゴ』幸せは欲を超えたところにある。コーエン兄弟の傑作、その魅力