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本物のレースと生身のドラマ『フォードvsフェラーリ』を爆速させる“ツインエンジン”

(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

本物のレースと生身のドラマ『フォードvsフェラーリ』を爆速させる“ツインエンジン”

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『フォードvsフェラーリ』あらすじ

元レーサーのカー・デザイナー、キャロル・シェルビーのもとに、巨大企業フォードから信じがたいオファーが届く。それはル・マン24時間レースで6連覇中の王者、フェラーリに対抗できる新たなレースカーを開発してほしいとの依頼だった。心臓の病でレース界から身を退いた苦い過去を持つシェルビーは、そのあまりにも困難な任務に挑むため、型破りなドライバー、ケン・マイルズをチームに招き入れる。しかし彼らの行く手には、開発におけるメカニックなトラブルにとどまらない幾多の難題が待ち受けていた。それでもレースへの純粋な情熱を共有する男たちは、いつしか固い友情で結ばれ、フェラーリとの決戦の地、ル・マンに乗り込んでいくのだった.....。


Index


批評家・観客双方から高評価を獲得



走行音が、音楽のように響き渡る。汗の一滴までもが、雄弁に物語る。

熱く気高く、愚直に「生きた」人間を描いた真実の物語だ。


 『フォードvsフェラーリ』(19)は、その名の通りフォード社とフェラーリ社の戦いをテーマとした作品だ。といっても、マイクロソフト社のビル・ゲイツとアップル社のスティーブ・ジョブズの競争を描いた『バトル・オブ・シリコンバレー』(99)のようなビジネス面でのバトルとはひと味違う。本作で行われるのは、一種の「代理戦争」。ライバル関係にある2社が、意地と威信をかけ、レースという場でぶつかり合うさまを活写している。


 舞台は、1960年代。自動車業界で勢いづくフェラーリ社(イタリア)を買収しようとしたフォード社(アメリカ)だったが、土壇場で決裂。さらにフェラーリの会長からは屈辱的なメッセージがフォード側に寄せられ、遺恨を残す結果となってしまう。コケにされたと感じたフォードの会長は、フェラーリが「絶対王者」として君臨するル・マン24時間レースに参加し、鼻を明かしてやろうといきり立つ。然して、最強のメンバー探しが始まった……。


『フォードvsフェラーリ』予告


 そこで白羽の矢が立ったのが、元レーサーで気鋭のカー・デザイナーとして売り出し中のキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。フォードの期待を一身に背負ったシェルビーは、手に負えない問題児ながら超一流のレーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)を“切り札”として招聘し、最強のマシン作りとレースの攻略に挑むのだった。


 以上が、ざっくりとした本作のあらすじだ。先に作品の評価を伝えると、全米最大の批評サイト「Rotten Tomatoes」では、総合評価92%、オーディエンススコア98%と非常に高い。批評家・観客双方から愛されている作品であることがわかる。また、153分とそれなりに長い上映時間だが、全世界興行収入は2.2億ドル突破の大ヒットを記録している。



『フォードvsフェラーリ』(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation


 単純計算だが、上映時間が長くなれば、1スクリーンにおいて1日に回せる上映回数はその分減る。2時間弱の作品に比べて、『フォードvsフェラーリ』はやや分が悪い。だが、全米では初登場1位を記録し、2週目も『アナと雪の女王2』(19)に続く2位をキープ。その後も約1ヶ月間ベスト3に踏みとどまり、劇中さながらに逆境を跳ね返す健闘ぶりを見せつけている。アカデミー賞でも4部門でノミネートされ、見事、音響編集賞と編集賞を受賞した。



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