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『アウトロー』トム・クルーズによるトム・クルーズのためのアンチ・トム・クルーズ映画

(c)Photofest / Getty Images

『アウトロー』トム・クルーズによるトム・クルーズのためのアンチ・トム・クルーズ映画

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195センチの大男をトム・クルーズが演じる?



 ポスト『ミッション・インポッシブル』シリーズの立ち上げは、2010年代の初め頃から命題として掲げられていたが、トム・クルーズが目を付けたのが、「ジャック・リーチャー」だ。


 英国作家リー・チャイルドによるこの犯罪小説は、これまでに95カ国・40言語に翻訳され、1億部以上の売り上げを誇る大ヒットシリーズ。“あてもない流浪の旅を続ける退役軍人”ジャック・リーチャーが、卓越した観察眼と推理力で怪事件を次々に解決するという、現代版シャーロック・ホームズものである。白い歯がのぞく必殺スマイルと、鍛え抜かれたマッチョバディがパブリック・イメージだったトム・クルーズには珍しく、ストイックな知的キャラで勝負!という訳だ。それでいて、重火器や格闘技にも精通しているという、なかなかに欲張りな設定である。



『アウトロー』(C) 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.TM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.


 実は、トム・クルーズには大きなハンデがあった。原作では、ジャック・リーチャーの身長は6フィート5インチ(195センチ)の大男として描かれているのだが、アメリカ人としては小柄なトム・クルーズは、170センチ程度。原作のイメージに全くそぐわないのである。実際に企画段階では、ブラッド・ピット、ヒュー・ジャックマン、ジェイミー・フォックス、ウィル・スミスといった面々がジャック・リーチャー役として考えられていた。“ロック様”ことドウェイン・ジョンソンも、この役を演じることについて検討していたという。


 しかし稀代のスーパースターであるトム・クルーズが演じるともなれば、原作者のリー・チャイルドも承諾せざるを得ず。かくしてトム様の新しいビッグ・プロジェクトが始動し、20冊を超えるシリーズの中から、「最も映画向き」という理由で、2005年に発表された9作目『One Shot』が原作に選ばれた。このようにして『アウトロー』(12)が誕生したのである。



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