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『スネーク・フライト』悪趣味!? いや、オモシロい!毒ヘビパニック映画の魅力

(c)Photofest / Getty Images

『スネーク・フライト』悪趣味!? いや、オモシロい!毒ヘビパニック映画の魅力

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理屈抜きのスリルとユーモアに酔う



 言うまでもなく、本作はB級映画ファンを、大いに楽しませる内容となった。最大の功労者は、やはりエリス監督だろう。スタント出身の彼は『マトリックス:リローデッド』(03)でハイウェイでのカーアクションシーンを演出したことにより認められ、人気ホラー『ファイナル・デスティネーション』(00)の続編『デッドコースター』(03)で前作以上に苛烈なバイオレンスを監督として描いた。続く『セルラー』(04)では高密度スリラーを作り上げて、ジャンル映画のファンを唸らせた実績があった。


 本作でエリスが大事にしたのは、スリルとユーモアだ。それはヘビが乗客を襲う多くの場面にハッキリと表われている。シートの下を静かに素早く這い回るヘビの描写に加え、緑一色の映像でヘビ視点を表現した映像表現の工夫が光った。そのようにして緊張感をジワジワと高めるのだから、襲撃の一瞬も強烈なものとなる。喉に、舌に、目玉に食らいついてくる描写はショッキングだ。



『スネーク・フライト』(c)Photofest / Getty Images


 一方で、バイオレントな描写も行き過ぎるとユーモアと化す。トイレで用を足していた男は性器に食らいつかれて悶絶し、うたた寝していた中年女性は服の中を這って迫ってくるヘビに、そうとは知らずに陶酔するなど、つい笑ってしまう描写が随所に盛り込まれている。乗客のひとりを頭から丸のみにしてしまう大蛇の描写は恐ろしいを通り越して、ビジュアル的におかしい。


 さらに、サミュエルが演じたヒーローはもちろん、とにかくキャラクターが魅力的だ。個性的なCAたちはそれぞれ乗客を守るために体を張る。乗客も、赤子を抱いた母親もいれば、子どももいる。早く食われろ…と思えるほどのイヤなヤツもいれば、生き残って欲しい…と思わせる愛すべき者もいる。最初はイヤなヤツだったが、後に奮闘して株を上げる者もいる。このようなキメ細かなキャラクター描写は、『セルラー』でも光っていたエリス作品の重要なエッセンスだ。



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