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『それでも夜は明ける』追い風を受け歴史を塗り替えたオスカー受賞作

(c)Photofest / Getty Images

『それでも夜は明ける』追い風を受け歴史を塗り替えたオスカー受賞作

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ソロモン・ノーサップとは?



 本作の主役、ソロモン・ノーサップ。恐らくほとんどの人が彼の名前を知らないだろう。


 ソロモン・ノーサップは、人種差別と戦った『グローリー/明日への行進』(14)のキング牧師や『マルコムX』(92)のように、歴史の教科書に載っているわけでもなく、『42~世界を変えた男~』(13)のジャッキー・ロビンソンのように、メジャーリーグで人種の壁を打ち破ったわけでもない。また、『Ray/レイ』(04)のレイ・チャールズや『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男』(14)のジェームス・ブラウンのように、世界的スーパースターでもなかった。


 ソロモン・ノーサップは一般人で12年間奴隷だった……。そしてそれが自伝本となってベストセラーとなり、100年以上を経て映画化され、映画界最高峰のアカデミー賞作品賞を獲得してしまったのだ。



『それでも夜は明ける』(c)Photofest / Getty Images


 一方で、ソロモン・ノーサップは自由黒人であった。自由黒人と一口に言っても、英語では「Free」と「Freed」ときっちり分けられる。「Free」は生まれながらにして自由だった黒人で、「Freed」は自由を与えられた奴隷出身の黒人のこと。黒人の間ではこの差が大きい。


 ソロモンの父は奴隷だったが後に解放されたので「Freed」だが、解放後に生まれた息子のソロモンは生まれながらにして自由「Free」だったのだ。


 しかし、バイオリン演奏の旅に出かけたソロモンは、道中で罠にはめられ、奴隷として売られるために南部に連れて行かれてしまう。そこからソロモンの過酷な12年間が始まるのだ。


 ちなみに、このソロモン・ノーサップの物語が映画化されるのは、実は2度目である。最初に映画化された時には、『黒いジャガー』(71)で知られるゴードン・パークス監督による『Solomon Northup's Odyssey』(84/日本未公開)というテレビ映画作品だった。こちらの作品は、とても分かりやすく描かれているので、機会があったら是非とも御覧いただきたい。本作との違いを見るのも面白いだろう。



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