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『ローガン・ラッキー』音楽担当で映画のテイストが分かる!?ソダーバーグ映画を支える音楽家たち

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『ローガン・ラッキー』音楽担当で映画のテイストが分かる!?ソダーバーグ映画を支える音楽家たち

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『ローガン・ラッキー』あらすじ

足が不自由で仕事を失い、家族にも逃げられ失意の人生を送る炭鉱夫ジミー・ローガンにはある企みがあった。それは、まもなく開催される全米最大のモーターカーイベントNASCARのレース中に大金を盗み出すという<前代未聞の強奪計画>―。早速、戦争で片腕を失った元軍人で冴えないバーテンダーの弟クライドと、美容師でカーマニアの妹メリーを仲間に加えたジミーだったが、ツキに見放されてきたローガン一家だけでは頼りがない。そこで、この大胆な犯行を成功させるため、爆破のプロで現在服役中の変人ジョー・バングに協力を仰ぐ。彼を脱獄させてレース場の金庫を爆破した後、看守が彼の不在に気づかないうちに刑務所に戻すという作戦だ。レース当日、ローガン一味は、何百万ドルもの売上金を運ぶ気送管設備があるサーキットの地下に侵入。全米犯罪史上最も驚くべき強盗事件は成功したかのように見えた…しかしFBI捜査官の執念深い捜査の手がすぐそこまで迫っていた――。


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ソダーバーグ映画のテイストは音楽担当で決まる?



 スティーヴン・ソダーバーグが引退を撤回して映画監督に復帰する――と聞いて、『ローガン・ラッキー』が軽妙な犯罪コメディになると予想できた人はいただろうか。4年ぶりに劇場長編映画を撮るのだから、相当に力の入った復帰作になる可能性だってあったはずで、『ローガン・ラッキー』の軽やかなエンタメ感は嬉しい不意討ちだったと言える。


 そもそもソダーバーグはあらゆるジャンルを自分なりのスタイルで咀嚼することにコダワリがあり、ひと口で「こんな作風」だと説明するのが難しいタイプ。現実の問題を扱っても、麻薬戦争の全貌を壮大な群像劇として描き切った『トラフィック』(2000)もあれば、大企業の内部告発事件をシュールなコメディに仕上げた『インフォーマント!』(2009)のような変わり種もある。「なにをしでかすかわからない」とは思ってはいたが、まさかここまで軽いタッチで勝負してくるとは想定外だった。



『ローガン・ラッキー』© 2017 Incarcerated Industries Inc. All Rights Reserved.


 ここにもソダーバーグという映画作家の、「テーマを語るために映画を作っているわけではない」とでも言いたげな食えなさを感じてしまうのだが、実はプロットも明かされていない段階から『ローガン・ラッキー』がどんなテイストになるかを予測する大きなヒントは明かされていた。スタッフリストを探せば、音楽担当がデヴィッド・ホルムズだと分かるからだ。


 実はソダーバーグはわずかな例外を除いて、自分の監督作の音楽を3人の作曲家の誰かに任せてきた。デビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)以来の付き合いのクリフ・マルティネス。『オーシャンズ11』三部作(2001~2007)を手がけたデヴィッド・ホルムズ。そして映画音楽界のサラブレッド、トーマス・ニューマンだ。ソダーバーグのフィルモグラフィーはバラエティ豊かでジャンルも多岐にわたっているが、この3人の作曲家の誰が音楽を担当しているかで、3つの路線に大別することができるのだ。



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