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『デッド・ドント・ダイ』ジャームッシュが込めた、文明批評とジョージ・A・ロメロへのリスペクト

(c)2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.

『デッド・ドント・ダイ』ジャームッシュが込めた、文明批評とジョージ・A・ロメロへのリスペクト

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文明批評家ジャームッシュの不思議なカン…?



 撮影監督は『ナイト・オン・ザ・プラネット』や『パターソン』等でジャームッシュと組んでいたフレドリック・エルムスで、今回は5度目のコンビとなる。


「ブリティッシュ・シネマトグラファー」に掲載されたインタビューによれば、「ずうっとジムはゾンビ映画を撮りたがっていた。望んでいた俳優たちのスケジュールが合ったので、そこからみんなのために脚本を書き始めた。ゾンビの撮影に関しては、あえて血が流れないように撮った」と語っている。


 彼もジャームッシュ一家ゆえ、他の俳優たちとリラックスした雰囲気で映画を撮ることができたようだ。「ゾンビ映画は私には未知のジャンルですごく新鮮だった。独特の奇妙な映像を作るため、最新技術と古い映画の手法をミックスした。最初から最後まですごく楽しかった」と前述の雑誌でコメントしている。



『デッド・ドント・ダイ』(c)2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.


 映画のロケ地となったのはニューヨークのはずれにあるフライシュマンズ。かつて裕福なニューヨーカーたちの保養地だったという。撮影がスタートしたのは2018年7月からで7週間かけてロケが行われた。日本での公開時には、ゾンビではなく、別の異常なもの、つまり、新型コロナウイルスが出現して、パンデミックが引き起こされてしまった。


 「とにかく、家にこもるように」と主人公の警官たちは住人に注意をうながす。コロナ禍の観客にはそれは別の意味でリアルな助言になってしまった(文明批評家としてのジャームッシュの不思議なカンが予期せぬ形で当たった……?)。



文:大森さわこ

映画ジャーナリスト。著書に「ロスト・シネマ」(河出書房新社)他、訳書に「ウディ」(D・エヴァニアー著、キネマ旬報社)他。雑誌は「ミュージック・マガジン」、「キネマ旬報」等に寄稿。ウエブ連載をもとにした取材本、「ミニシアター再訪」も刊行予定。



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作品情報を見る



『デッド・ドント・ダイ』

2020年6月5日(金)より全国ロードショー

配給:ロングライド

Abbot Genser / Focus Features (c) 2019 Image Eleven Productions Inc.

Frederick Elmes / Focus Features (c) 2019 Image Eleven Productions, Inc.

(c)2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.

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