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『マディソン郡の橋』クリント・イーストウッド的エッセンスに満ちた、大人のラブ・ロマンス

The Bridges of Madison Country © 1995, Package Design & Supplementary Material Compilation © 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All rights reserved.

『マディソン郡の橋』クリント・イーストウッド的エッセンスに満ちた、大人のラブ・ロマンス

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二転三転した監督人事



 当初監督には、『追憶』(73)、『愛と哀しみの果て』(85)、『ハバナ』(90)など叙情的なラブロマンス作品に定評があるシドニー・ポラックが考えられていた。しかもキンケイド役には、ロバート・レッドフォードが最有力候補だったという。


 シドニー・ポラック監督で主演がロバート・レッドフォード&メリル・ストリープで、既婚女性がちょっと危険なワイルド系にフォーリン・ラヴしちゃう話って、それほとんど『愛と哀しみの果て』ですからー!しかし、なかなかスピルバーグが納得するシナリオが完成せず、脚本家が次々と入れ替わる中でポラックは降板してしまう。


 一時はスピルバーグ自身が監督するプランや、『ドライビング Miss デイジー』(89)で知られるブルース・ベレスフォードが監督を務めることも検討されていたものの、結局監督の座に収まったのは、主演のキンケイドを演じるクリント・イーストウッドだった。

 

『マディソン郡の橋』The Bridges of Madison Country © 1995, Package Design & Supplementary Material Compilation © 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. Distributed by Warner Home Video. All rights reserved.


 オトコ汁を出しまくりのアクション活劇や西部劇を発表してきた彼に、王道ラブロマンス『マディソン郡の橋』は一見お門違いのように思える。実際、外野からは否定的な意見がたくさん噴出していたようで、イーストウッドはさるインタビューでこんなコメントを残している。


 「人は相変わらずレッテルを張ろうとする、そういうことさ。(中略)「お前向け」っていうのはどういうことかい?わからないな。わたしは色んな映画を撮る。それだけだ」(「孤高の騎士クリント・イーストウッド(映画作家が自身を語る) フィルムアート社 マイケル・ヘンリー・ウィルソン (著), 石原 陽一郎 (翻訳)」より抜粋)


 だが少なくとも、スピルバーグからようやくGOサインが出たシナリオ(執筆したのは、『 フィッシャー・キング』(91)などで知られる脚本家リチャード・ラグラヴェネーズ)には、イーストウッド映画的なエッセンスがプラスされていた。


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