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『オン・ザ・ロック』ソフィア・コッポラが描く、ダイバーシティとニューヨーク、そしてミドルエイジ

(c)2020 SCIC Intl Photo Courtesy of Apple

『オン・ザ・ロック』ソフィア・コッポラが描く、ダイバーシティとニューヨーク、そしてミドルエイジ

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『オン・ザ・ロック』あらすじ

ローラ(ラシダ・ジョーンズ)は順風満帆な人生を送っていると思っていた。しかし、夫のディーン(マーロン・ウェイアンズ)が新しく来た同僚と残業を繰り返すようになり、良からぬことが起こっているのではと疑いを抱く。そこで、ローラはそういう男女の問題に精通しているプレイボーイの男性に相談を持ち掛ける。それは、自分の父親のフェリックス(ビル・マーレイ)だった。フェリックスはローラにこの事態を調査すべきだとアドバイスし、父娘2人で夜のニューヨークへと繰り出す。アップタウンのパーティーやダウンタウンのホットスポットを駆け巡る内に、フェリックスとローラは自分たち父娘の関係についてある発見をすることになる――。


Index


ソフィア・コッポラ × 「A24」 × 「Apple TV+」



 『ムーンライト』(16)、『へレディタリー/継承』(18)、『WAVES/ウェイブス』(19)など、エッジーな作品を次々に世に送り出している映画スタジオ「A24」と、ビデオ・オン・デマンドサービス「Apple TV+」が、2018年に業務提携を発表。その記念すべき第一回共同配給作品に選ばれたのが、我らがソフィア・コッポラの最新作『オン・ザ・ロック』(20)だ。


 もともとソフィアとA24は、2013年に公開された『ブリングリング』で仕事をしている仲だったが、ビデオ・オン・デマンドサービス系とは初タッグ。彼女はある席上で、「同年代の映画製作者ほどストリーミングに反対しているわけではないけど、ストリーミングと伝統的な映画の関係を理解しようと努めているわ」と語っている(※)。


『オン・ザ・ロック』予告


 すでに10月2日(金)より全国ロードショーされ、公開4週目となる10月23日(金)からはApple TV+でも配信が開始される予定。しかし、ソフィアの新作を一ヶ月もやり過ごすなんて、映画ファンとしてはあるまじき態度だろう。公開されるや否や筆者はいそいそと映画館に足を運び、その素晴らしさに感動し、脳内で何度も『オン・ザ・ロック』を反芻し、今ではApple TV+の加入を真剣に検討している真っ只中。完全にA24とApple TV+の手のひらで転がされている。


 『オン・ザ・ロック』で注目すべきは、主人公のローラ(ラシダ・ジョーンズ)が子持ちの中年女性である、ということだろう。劇中で父親のフェリックス(ビル・マーレイ)が「女性は35歳から39歳が最も輝く」と自説を語ると、「それは朗報だわ。まだ何ヶ月も残ってる」と切り返していることから、不惑の40代に突入する寸前であることがわかる。


 本作は、ソフィア・コッポラが初めて描く「中年女性のミドルエイジ・クライシス・ムービー」なのだ。


(※)https://www.indiewire.com/2020/04/sofia-coppola-bill-murray-on-the-rocks-story-1202226344/



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