1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ハンナ
  4. 『ハンナ』 寓話性とアクションに満ちた超絶少女の物語はいかにして生まれたのか?
『ハンナ』 寓話性とアクションに満ちた超絶少女の物語はいかにして生まれたのか?

(c) 2011 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

『ハンナ』 寓話性とアクションに満ちた超絶少女の物語はいかにして生まれたのか?

PAGES


4年を経て実現した二人の再コラボレーション



 本作は、2006年ごろにセス・ロックヘッドが考案したオリジナルのストーリーがすべての原点となっている。彼の原案は、2度にわたってハリウッドのブラックリスト(業界人が選ぶ、まだ映画化の道筋が決まっていない優秀脚本)に名を連ねるなど、早いうちから方々で注目の的に。その後、一時は『トレインスポッティング』(96)のダニー・ボイルが関わったり、またアルフォンソ・キュアロンの名前が取り沙汰されたこともあった。


 が、シアーシャ・ローナンが本作への参加を決めた時、監督のポジションは空位状態にあったとか。そこで彼女は、かつて『つぐない』で自分を抜擢し、映画界の高みへと導いてくれたジョー・ライトの名前を提案。自分が主演すると知れば、きっと彼も興味を持ってくれると確信したのである。



『ハンナ』(c) 2011 Focus Features LLC. All Rights Reserved.


 彼女の読みは当たった。そもそもライト監督は、幼い頃から「劇団」や「一座」に囲まれて育ってきた(彼の両親は人形劇場の創設者だった)こともあり、極めて仲間意識の強い人として知られる。きっとローナンとの間にも「いつかまた必ず」という共通意識が結ばれていたのだろう。そして最終的に彼を突き動かしたのも、映画の内容以上に、「シアーシャ・ローナンの女優としての成長ぶりを見てみたい」という純粋な思いだった。


 とはいえ、今回ばかりはローナンに課せられたものがあまりに大きい。映画の良し悪しは、彼女がいかにスクリーンで説得力のあるアクションを披露できるかにかかっている。


 「過酷な日々が待ってるぞ。本当にやれるかい?」


 ライト監督にそう問われたローナンは、「平気よ、やれる」と答えた。


 かつて水泳をやっていたから、体力には自信があったようだが、数か月間に及ぶトレーニングはそれにも増してハードなものとなった。だが、彼女はいっさい弱音を吐くことなく、これまでと全く次元の異なるフィジカルな役作りを極めていった。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ハンナ
  4. 『ハンナ』 寓話性とアクションに満ちた超絶少女の物語はいかにして生まれたのか?