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『大統領の料理人』ミッテランを唸らせた“おふくろの味”。そこにあった苦い隠し味とは

Les Saveurs du Palais (C)2012 -Armada Films- Vendome Production -Wild Bunch -France 2 Cinema

『大統領の料理人』ミッテランを唸らせた“おふくろの味”。そこにあった苦い隠し味とは

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彼女はなぜエリゼ宮を出て南極にやってきたのか?



 この映画の面白さは、オルタンスが過ごす2つの時代をカットバックで見せていく構成にある。


 映画の冒頭、オルタンスはパリから約8,000マイルも離れた、仏領クローゼー諸島にある南極観測基地で、やはり”おふくろの味”に飢えた大勢の隊員たちのために、自家製トリュフをふんだんに使ったグラタンをサーブして、拍手喝采を浴びている。



『大統領の料理人』Les Saveurs du Palais (C)2012 -Armada Films- Vendome Production -Wild Bunch -France 2 Cinema


 場面が切り替わり、そこから遡ること4年前。大統領のために渾身の賄い料理を振る舞おうとするオルタンス。しかし、彼女に出番を横取りされることに危機感を覚えた主厨房の連中が、あの手この手で邪魔をする。シェフばかりではない。官邸を仕切る上層部が、大統領の健康のため、経費削減のためと、色々理由を付けてオルタンスを追い出しにかかるのだ。


 つまり、料理界のみならず、政治の世界だって、性別にこだわり、異物や変化を嫌って現状維持に走ろうとする。少なくとも、ミッテラン時代のフランスでは、それが現実だったのだ。



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