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『ゲーム』「どんでん返さない」確信犯たち。賛否両論を超えた先にあるものとは

(c)Photofest / Getty Images

『ゲーム』「どんでん返さない」確信犯たち。賛否両論を超えた先にあるものとは

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


『ゲーム』あらすじ

実業家ニコラスは48歳の誕生日に、弟のコンラッドからCRS社主催の“ゲーム”の招待状をプレゼントされる。最初は馬鹿にしていたニコラスだが、「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」という謳い文句にひかれてゲームに参加することにする。やがて、ブリーフケースの鍵の紛失、スキャンダルの発覚、CRS社のオフィスの消滅と、奇妙な出来事がニコラスの周りで次々に起こり始める。トラブルは次第に加速していき、遂には生命の危機にさらされることになる……。


Index


“どんでん返し”と“どんでん返さず”の狭間で



 デヴィッド・フィンチャーの監督作で、おそらく最も過小評価されているであろう『ゲーム』。毀誉褒貶の激しさについては大いに反論したいところであるが、多くの観客を戸惑わせた(そして一部の観客を夢中にさせた)大きな理由に、“どんでん返し”、 いや、さらに一周まわって“どんでん返さず”な構成があることは別の記事でも述べた。


 この“衝撃のオチ”については、初期のシナリオにはなかったものをフィンチャーの希望で改変されたのだという。当初の展開では、主人公のニコラスは謎のゲームを仕掛けるCRS社の息のかかった女性クリスティーンを殺し、絶望して自殺してしまうというものだった。いかにもダークスリラーといったバッドエンディングだが、フィンチャーはナンセンスだと却下。結果として生まれたのが「ダークな振りして実はハッピーなアトラクションムービー」という完成版だったのだ。


『ゲーム』予告


 ただ、本作をハッピーな映画と捉えるにはスリラーとしての緊張感が高く、多くの人が「ガチのスリラー」だと勘違いしてしまったのが、賛否両論の主となる原因だったと思っている。フィンチャー自身がそのミスリードを意図的にやっているので、フィンチャーに責任があると言えなくもないし、バランスが悪いという批判を受けるのもしょうがない。


 ただ『ゲーム』という映画が目指したのは、誰もが納得するバランスのいいエンタメではなく、オーソドックスなストーリーテリングを引っ掻き回し、“どんでん返し”と“どんでん返さず”の狭間で観客の気持ちを宙づりにする、極めて不安定かつトリッキーな刺激だったのだ。



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