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『3時10分、決断のとき』西部劇の形式が導く、神話性を宿した肉厚な人間ドラマ

(c)Photofest / Getty Images

『3時10分、決断のとき』西部劇の形式が導く、神話性を宿した肉厚な人間ドラマ

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『3時10分、決断のとき』あらすじ

南北戦争終結直後のアリゾナ。戦争で片足を不自由にして以来、妻と子供達で苦しい生活を送っていた牧場主、ダンは、町の権力者とその手下から執拗な嫌がらせを受けていた。ある日、権力者と交渉をしようと町を出ると、道中でベン・ウェイド率いる強盗団に襲われた賞金稼ぎと出会う。交渉は決裂したものの、ダンはベンが縛り首にされるために「ユマ行き3時10分発」の汽車に乗せられる報を聞きつける。そこでダンは駅までベンを護送する一行との同行を志願するのだが....。


Index


「今こそこの映画を」ジェームズ・マンゴールド監督の挑戦



 「西部劇は滅びたのか?」とは、これまでも幾度となく繰り返されてきたフレーズである。その一方、人々が西部劇の存在を忘れかけるたび、まるで再定義を行うかのように新時代の傑作が誕生するのも、このジャンルの常だ。


 思えば90年代前半は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)や『許されざる者』(92)が脚光を浴びたものの、00年代に入ると人気はすっかり低迷。西部劇を作ることに何ら商業的な打算のなかった当時、「今こそこの映画を」と決意を固めたのがジェームズ・マンゴールド監督である。


『3時10分、決断のとき』予告


 『フォードVSフェラーリ』(19)では、伝説的な主人公ふたりの存在感を際立たせつつ、骨太なヒューマンドラマを紡いだ。また、その一つ前の『LOGAN/ローガン』(17)では、死に場所を求める荒野のガンマンのごときヒーローの、壮絶な生き様を描き尽くした。半ば強引に言ってしまえば、これらの傑作群の原型ともいうべきエッセンスが、2007年の『3時10分、決断のとき』には刻み込まれているように思えてならない。




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