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『3時10分、決断のとき』西部劇の形式が導く、神話性を宿した肉厚な人間ドラマ

(c)Photofest / Getty Images

『3時10分、決断のとき』西部劇の形式が導く、神話性を宿した肉厚な人間ドラマ

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オリジナル版が若き日の監督に与えてくれたもの



 この『3時10分、決断のとき』は、1957年のモノクロ映画『決断の3時10分』(デルマー・デイヴス監督)のリメイクにあたる。原作は『ジャッキー・ブラウン』(97)や『アウト・オブ・サイト』(98)といった犯罪劇で知られるエルモア・レナードの短編。彼は小説家として駆け出しの50年代、小銭稼ぎのようなつもりでこの当時大人気だった西部劇を執筆したとされる。


 一本の映画が人の運命を変えるとはよく言われるが、ジェームズ・マンゴールド監督にとってこのオリジナル版も、まさにそんな一本だった。彼はこの映画を何度も鑑賞して研究することで、西部劇の面白さにのめり込み、なおかつ「映像のあり方」や「構造のまとめ方」についても深く学んだそうだ。


 そんな思い入れのある作品だったからこそ、ソニーがこの権利を有していると知った時、ぜひ自分の手でリメイクしたいという気持ちが湧き起こった。


『3時10分、決断のとき』(c)Photofest / Getty Images


 しかし、そこには様々な製作上の壁が立ちはだかることに。当初はトム・クルーズが悪役を演じるとか、エリック・バナが出演するなどの様々なキャスティングの展開があったものの、いずれも交渉が前進せず。虚しく歳月だけが過ぎていき、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(05)があれほど激賞された直後も、さらには主演にラッセル・クロウとクリスチャン・ベイルという二大俳優が正式にキャスティングされてもなお、なかなか資金が集まらない状態だったという。


 その後、ようやく映画は製作に向けて本始動するのだが、途中まではマンゴールドと当時のパートナーでありプロデューサーのキャシー・コンラッドが自ら資金調達するような形だったとか。周囲が出資を渋る理由としては「西部劇」に対する凝り固まった目線があったのは明らかだ。マンゴールド監督の胸には「これでもし失敗したら、自分が西部劇の息の根を止めてしまうことにもなりかねない」とするプレッシャーすら芽生えていたそうだ。




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