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『さよなら、僕のマンハッタン』サイモン&ガーファンクルの名曲から読み解く

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『さよなら、僕のマンハッタン』サイモン&ガーファンクルの名曲から読み解く

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サイモン&ガーファンクルの名曲が生まれた背景とは?



 サイモン&ガーファンクルの楽曲”The Only Living Boy in New York”の歌詞を紐解くと、そこには二人の人物が登場する。一人はこのリリックを歌う“僕”。もう一人は僕が呼びかける相手“トム”である。


 歌詞の中で、トムは今まさにメキシコに向けて飛行機で飛び立とうとしているらしい。そんな彼に向けて“僕”は「心配ない」「きっとうまくいくよ」と呼びかけている。それはまるで人生の大事な局面を迎えた親友へのささやかなエールのよう。だが、最終的にはトムが旅立った後、ニューヨークの街に一人ぼっちとなる“僕”の心境で締めくくられる。


『The Only Living Boy in New York』


 「サイモンとガーファンクル 旧友」(ジョゼフ・モレラ/パトリシア・バーレイ著、音楽之友社、1993年)によると、この楽曲には当時のデュオの関係性が如実に投影されているという。この頃、二人は『卒業』で知り合ったマイク・ニコルズ監督から次回作『キャッチ22』への出演を打診された。だが、結果的にサイモンが演じるはずだった役柄はカットとなり、ガーファンクルだけが華々しくスクリーン・デビューを飾ることとなる。この戦争コメディの撮影場所はメキシコ。スケジュールは当初の予定よりも押して、彼らの新アルバムの制作にも影響を及ぼすこととなった。そのため、サイモンはいろんな意味で「NYに取り残された」想いを抱えながら、ひとりで悶々と音楽制作に向かう……そんな心境を綴った歌なのだ。そして“トム”という名前は、二人の初期のグループ名“トム&ジェリー”に由来する、ガーファンクルの昔の呼び名でもあるらしい。



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