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男同士であることを忘れさせる傑作『君の名前で僕を呼んで』が超えたジャンルとは

©Frenesy, La Cinefacture

男同士であることを忘れさせる傑作『君の名前で僕を呼んで』が超えたジャンルとは

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時代を彩ってきたゲイ映画の歴史



 時代をさかのぼれば、良くも悪くも「ゲイ映画」は特殊な位置づけをされてきた。『君の名前で僕を呼んで』と同じくイタリアを舞台に、美少年に翻弄させる老作曲家を描いた『 ベニスに死す』のルキノ・ヴィスコンティを筆頭に、デレク・ジャーマン、ライナー・ヴェルナー・ファスベンダー、ガス・ヴァン・サント、ジョン・ウォーターズ、フランソワ・オゾン、ペドロ・アルモドヴァルなど、自らのゲイとしてアイデンティティーを強烈に作品に込めた監督は数多い。日本にも橋口亮輔(『 二十才の微熱』『 渚のシンドバッド』『 ハッシュ!』)などがいる。


 ゲイ映画がひとつのブームを作ったのは、『 アナザー・カントリー』、『 モーリス』といった、イギリスの美青年たちを主人公にした作品が続いた1980年代の中ごろ。今でいうBLに近い世界だ。『モーリス』の監督は、『君の名前で僕を呼んで』の脚本家であるジェームズ・アイヴォリーだ。さらに世界的なエイズパニックが起こった90年代初頭には『 ロングタイム・コンパニオン』、『 フィラデルフィア』などが誕生した。


 その後、『 ブエノスアイレス』、『 ブロークバック・マウンテン』のように、リアルな関係を伴った男同士のラブストーリーの名作が生まれることになる。『 ウエディング・バンケット』のようにゲイカップルの等身大の日常を描く作品も増えていった。まっすぐに男同士の恋愛を描くものから、そうした関係性を匂わせるもの(『 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『 ベルベット・ゴールドマイン』など)、近年も日本で量産されるBL作品まで入れれば、ゲイ映画というジャンルに括られる作品は数えきれない。



『君の名前で僕を呼んで』 ©Frenesy, La Cinefacture


 ただこれまでの多くのゲイ映画、およびレズビアン映画でフィーチャーされてきたのは、どこか少数派としての特殊性だった。『ブエノスアイレス』や『 太陽と月に背いて』などのように、その部分が希薄な作品もあったし、あるいは『 バードケージ』、『 イン&アウト』のようなコメディ色の強い作品もコンスタントに作られたが、ゲイ映画の王道路線は屈折感が漂っていたり、自分のセクシュアリティと向き合って苦悩したりするパターンが多かった。


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