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『パティ・ケイク$』〈ホワイト・トラッシュ〉の生き様を通して描く、新たなコミュニケーションの可能性 ※注!ネタバレ含みます。

(c) 2017 Twentieth Century Fox

『パティ・ケイク$』〈ホワイト・トラッシュ〉の生き様を通して描く、新たなコミュニケーションの可能性 ※注!ネタバレ含みます。

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『パティ・ケイク$』あらすじ

主人公のパティは、掃き溜めのような地元ニュージャージーで、呑んだくれの元ロック歌手だった母と、車椅子の祖母と3人暮らし。23歳の彼女は、憧れのラップの神様O-Zのように名声を手に入れ、地元を出ることを夢みていた。金ナシ、職ナシ、その見た目からダンボ!と嘲笑されるパティにとって、ヒップホップ音楽は魂の叫びであり、観るものすべての感情を揺さぶる奇跡の秘密兵器だった。パティはある日、フリースタイルラップ・バトルで因縁の相手を渾身のライムで打ち負かし、諦めかけていたスターになる夢に再び挑戦する勇気を手に入れる。そんな彼女のもとに、正式なオーディションに出場するチャンスが舞い込んでくる――。


Index


アメリカ映画に流れる〈ホワイト・トラッシュ〉の血脈



 熱いラップで人生を切り開く女性を描いた『パティ・ケイク$』。サンダンス映画祭で絶賛され、映画ファンが信頼を寄せるFOX・サーチライト・ピクチャーズで配給された本作の監督は、新人のジェレミー・ジャスパー。彼はニュージャージーの貧困家庭で生まれ育ち、自らの体験を物語に色濃く投影することで、青春音楽映画の傑作をものにした。彼が育った白人の貧困家庭、低所得者層は俗に〈ホワイト・トラッシュ〉と呼ばれる。〈ホワイト・トラッシュ〉はトランプ大統領のコアな支持層になったと言われるが、それは「社会から忘れ去らさられた存在」として扱われていた彼らに潜む怒りを、トランプが巧みにすくい上げたからだろう。



 『パティ・ケイク$』(c) 2017 Twentieth Century Fox


  アメリカ映画には〈ホワイト・トラッシュ〉描写が重要な意味を持つ作品が数多くあり、今年の公開作だけでも『 スリー・ビルボード』、『 アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』、『 フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』など、すぐれた作品の中で白人の低所得者層が重要なモチーフとなってきた。『パティ・ケイク$』もその流れの中に位置づけることができるが、そこで描かれるテーマを読み解くのに最適な本がある。



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