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『インセプション』“虚構のリアリティー”をCGに頼らず深化させた、ノーランの傑作

©2014 Warner Bros. Entertainment Inc.

『インセプション』“虚構のリアリティー”をCGに頼らず深化させた、ノーランの傑作

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『インセプション』あらすじ

鬼才クリストファー・ノーランが国際色豊かなキャストを率いて、世界各地、さらに夢の中へと観る者を誘うSFアクション大作。ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人の心が無防備な状態、つまり夢を見ている間に潜在意識から貴重な秘密を盗み出すスペシャリスト。その特異な才能は産業スパイが暗躍する世界で重宝される一方、そのために彼は最愛のものを奪われ、国際指名手配されてしまう。そんな彼に失った人生を取り戻すチャンスが。そのためには「インセプション」と呼ばれる、アイデアを盗むのとは逆に相手の心に“植え付ける”、およそ不可能とされる任務を成功させる必要があった。もしコブと仲間たちが成し遂げたなら、それは完全犯罪を意味する。だがいかに綿密に計画し、様々な特殊能力があったとしても、行動がすべて相手に読まれていては太刀打ちできない。そんな強敵が現れる予感を、コブだけが感じ取っていた。


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「他人の夢に侵入する」という虚構をリアルに描く



 2010年公開の『インセプション』は、クリストファー・ノーランにとって7本目の長編監督作。意外なことに、自身が手掛けたオリジナル脚本の映画としては1998年のデビュー作『 フォロウィング』以来となる2本目だ(『 メメント』は弟ジョナサン・ノーランの短編小説が原作、『 インソムニア』はリメイク、『 プレステージ』も原作小説あり、そして『 バットマン ビギンズ』『 ダークナイト』はもちろんコミックが原作)。


 6,000ドルという超低予算で自主制作した『フォロウィング』に対し、ワーナー・ブラザースと組んだバットマン映画2本と『プレステージ』という大作の成功によりスタジオから信頼を得たノーランは、10年近く温めてきたアイデアを大規模予算の映画として実現すべく脚本を仕上げる。ノーランはインタビューで、「人間の心から生まれる夢は無限大なので、夢の世界を描く映画には無限大の感覚が求められ、そのためには大規模な製作費が必要だった」という趣旨の発言をしている。『インセプション』の予算は1億6000万ドル。『フォロウィング』の実に2万6000倍以上となった。



『インセプション』©2014 Warner Bros. Entertainment Inc.


 「他人の夢に侵入する」というコンセプトと夢の中で展開するフィクションに説得力を持たせるため、ノーランが映像面で追求したのは、現実世界では起こりえない出来事を可能な限りリアルに描写すること。映像のリアリティーを高めるため、極力CGには頼らず、工夫を凝らした実写撮影で斬新なスペクタクルを創造していったのだ。


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