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『女と男の観覧車』ウディ・アレンが観覧車(ワンダー・ホイール)を選ぶ理由

(C) 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

『女と男の観覧車』ウディ・アレンが観覧車(ワンダー・ホイール)を選ぶ理由

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『女と男の観覧車』あらすじ

遊園地のレストランでウェイトレスとして働くジニー(ケイト・ウィンスレット)は、かつては女優として舞台に立っていたが、今は、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ(ジム・ベルーシ)、そして自身の連れ子のリッチー(ジャック・ゴア)と観覧車の見える部屋で暮らしている。実は彼女は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、脚本家を目指す彼との未来に夢を見ていた。だが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていた夫の娘、キャロライナ(ジュノー・テンプル)が現れたことから、すべてが狂い始める――。


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映画のタイトルになったコニーアイランド名物の大観覧車



 ウディ・アレン監督の『女と男の観覧車』の原題は「ワンダー・ホイール(Wonder Wheel)」。ニューヨーク市内の行楽地コニーアイランドにある観覧車の名前である。『女と男の観覧車』の主人公、ジニー(ケイト・ウィンスレット)とハンプティ(ジェームズ・ベルーシ)の夫婦はコニーアイランドの遊園地で働いていて、観覧車のすぐ脇にある建物に住んでいる、という設定なのだ。


 映画のタイトルにもなっているこの観覧車は、アメリカに数多ある観覧車の中でも特に有名なもののひとつ。コニーアイランドはブルックリン区の南端にあたる地名で、白砂のビーチと遊園地などの遊興施設、ビーチ沿いのボードウォークをひとまとめにした市民のリゾートの総称にもなっている。1920年から稼働しているワンダー・ホイールはいまだに現役で、再来年には100周年を迎える歴史的建造物でもある。



『女と男の観覧車』(C) 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.


 コニーアイランドとワンダー・ホイールは格好の被写体として、数々の映画に登場してきた。例えばニューヨークの不良集団の抗争を描いた『 ウォリアーズ』(1979)は、冒頭のカットでワンダー・ホイールが映り、主人公たちの地元がコニーアイランドだと示される。『 クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)でビデオテープに残されていた恋人たちのデート先もコニーアイランドだったし、最近では『 スパイダーマン/ホームカミング』(2017)のクライマックスで飛行機が不時着し、背景にワンダー・ホイールが映り込んでいた。


 ニューヨークのブルックリンに育ったウディ・アレンは、子供の頃からコニーアイランドに魅せられ、映画にも好んで登場させてきた。例えば『 ギター弾きの恋』(1999)で、ショーン・ペン扮するジャズギタリストのエメットがサマンサ・モートン扮するハッティと出会うのもコニーアイランドの遊園地。そして何より『女と男の観覧車』とリンクするのが、アカデミー賞作品賞以下4部門に輝いた『 アニー・ホール』(1977)だ。


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