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『ストリート・オブ・ファイヤー デジタル・リマスター版』「ロックン・ロールの寓話」が生み出した、時を超えて輝き続ける音楽

©1984 Universal Studios. All Rights Reserved.

『ストリート・オブ・ファイヤー デジタル・リマスター版』「ロックン・ロールの寓話」が生み出した、時を超えて輝き続ける音楽

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あまりに劇的でカッコいい、冒頭とラストの2曲



 『ストリート・オブ・ファイヤー』で観る者の心を鷲掴みするのは、冒頭のエレン・エイムとジ・アタッカーズのライブシーンだ。曲は「Nowhere Fast(ノーホエア・ファスト)」。アップテンポのドラムに流れるようなピアノが重なり、一気にハイテンション。ステージの袖からマイクへ向かって走ってきたエレン・エイムが、いきなりパワフルなヴォーカルを聞かせ、その場を支配する。そこからは巧みな編集と、悩ましい色彩のステージの照明、鮮やかなカメラワークが、これでもか、これでもかと駆使され、歌唱後、壮絶なアクションへとなだれ込むまでのシークエンスは、映画史上最もカッコいいと断言したくなるほど!


『ストリート・オブ・ファイヤー デジタル・リマスター版』予告


 エレン・エイム役はダイアン・レインだが、その歌声は本人のものではなく、バンド「Face to Face」のヴォーカルであるローリー・サージェント、そしてホリー・シャーウッドの2人が担当している(完成版の音は、2人の歌声を合成したと言われている)。そして劇中に登場するジ・アタッカーズは、Face to Faceのメンバーである。


 曲を作ったのは、ジム・スタインマン。前述した『フットルース』のサントラに使われたボニー・タイラーの「 ヒーロー」や、やはりタイラーの大ヒット曲「 愛のかげり」、エア・サプライの「 渚の誓い」などを手がけた、1980年代前半のヒットメーカーである。『ストリート・オブ・ファイヤー』のサントラに「ノーホエア・ファスト」のアーティストとして記載されている「Fire Inc.(ファイヤー・インク)」というバンド名は、今作のためにスタインマンが集めたメンバーの呼称であり、これ以外の活動はない。


 スタインマン+ファイヤー・インクの曲はラストにも登場する。「Tonight is What It Means to Be Yong」だ。日本語タイトルは「今夜は青春」と、いま聞くとやや気恥ずかしい表現だが、この曲のシーンも冒頭と「対」になっており、あまりにドラマチックである。「今夜は青春」は、椎名恵が「今夜はANGEL」というタイトルで日本語カバーし、1985年のドラマ「ヤヌスの鏡」の主題歌にもなった。


「Tonight is What It Means to Be Yong」MV


 いずれにしてもスタイマンのこの2曲は、他の彼の代表作と同様に、曲自体がドラマチックな構成をもち、1980年代のノスタルジーを感じさせつつ、全く古びないテイストを備えている。


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