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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』イーサン・ハント=トム・クルーズの戦いの歴史に、シリーズの節目を実感させる

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』イーサン・ハント=トム・クルーズの戦いの歴史に、シリーズの節目を実感させる

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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』あらすじ

何者かに複数のプルトニウムが盗まれた。イーサン・ハントとIMFチームは、その“同時核爆発を未然に防ぐミッション”を受ける。だが手がかりは薄く、“名前しか分からない正体不明の敵”を追う中でのミッション遂行は困難を強いられた。タイムリミットが刻一刻と迫る中、IMFに立ちはだかるのは、イーサン・ハントを疑うCIAが送り込んだ敏腕エージェントのウォーカーで、イーサンは彼との対決を余儀なくされる。そして、いくつもの<フォールアウト(予期せぬ余波)>が絶体絶命のイーサン・ハントに降りかかる。今度のミッションの不可能は一つではなく、連鎖したたみかけるようにIMFに迫る!


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 テレビの諜報サスペンスドラマ『スパイ大作戦』(66〜73)の劇場版として企画され、1996年の第1作目から現在までに5本ものフランチャイズを展開してきたアクション映画『ミッション:インポッシブル』。先ごろ公開された6本目となる『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、全米で6150万ドルという記録的なオープニング興行成績を稼ぎ出し、変わらぬ人気を誇示する形となった。(2016年の『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』までは)続編ものとは積極的に関わることのなかったトム・クルーズが、唯一キャリアの中頃から自ら製作の指揮をとり、22年間もの長きにわたって主演を兼ねてきた同シリーズ。しかし今回、その内容は観る者にひとつの節目を覚えさせるような、まるで最終章であるかのごとき仕上がりとなっているのを実感するだろう。



『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.


テレビドラマ時代からの宿敵が醸し出す「ラスボス感」



 とはいえ現状、トム・クルーズ自身の口から、シリーズの終わりを告げるような発言は出ていない。にもかかわらず先述した意識を強くさせるのは、本作が前回の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)から引き続き、反体制組織である「シンジケート」との戦いをベースにしているからだろう。シリーズ4作目となる『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)のラスト、イーサン・ハント(トム)がシンジケートの一掃を図る伝令を得たのを起点に、このシリーズは足かけ7年にわたり同一組織との対立に言及してきたことになる。しかも今回「平和をおこなうには、まず痛みから」という理念を掲げ、社会崩壊によって世を立て直そうとする残党「アポストル」の暗躍へと事態は深刻化。さらには前作で捕らえたシンジケートのボス、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)が再びイーサンに揺さぶりをかけるなど、同組織はIMF最大の脅威として彼らの前に立ちはだかるのだ。 



『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.


 このシンジケートはオリジナルである『スパイ大作戦』でも幾度か登場し、IMFがマークする敵組織のひとつとしてファンには周知されている。同シリーズにおいて最初にシンジケートとの接点があったのは、第17話「シンジケートをばらせ!」で、政府に癒着して利益を得ようとするシンジケートに潜り込み、内部崩壊をもくろむIMFの活躍が描かれている。次いで第39話と40話の「黒の壊滅命令」では、シンジケートが米国で得た資金のロンダリング(洗浄)を防ぎ、その活動に終止符を打とうとするミッションが前後編にわたって繰り広げられている。ちなみにこの前後編は後に一本へと再編集がなされ、『スパイ大作戦 薔薇の秘密指令』(69)という邦題で日本でも劇場公開されている。つまり『スパイ大作戦』初の映画化は、くしくも敵がシンジケートという点で『ローグ・ネイション』以降への布石となっているのだ。


 これらテレビ版に出てきたシンジケートと、いま映画に登場している同組織とはやや性質が異なるし(前者はテロ集団というよりはマフィア組織の色合いが濃い)、また直接の関係はない。だがこうした『スパイ大作戦』を象徴する敵役によってIMFを窮地に陥れることが、観る者に「ラスボス登場」といった雰囲気をいやでも感じさせ、作品がフィナーレへと向かうかのような色調を強く滲ませるのである。




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