1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 小さな恋のメロディ
  4. 『小さな恋のメロディ』アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地
『小さな恋のメロディ』アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地

© Photofest / Getty Images

『小さな恋のメロディ』アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地

PAGES


映像+音を融合させる才能は、数々の名作を生み出す



 こうして脚本担当ながら、監督としての一歩を踏み出したアラン・パーカーは、『小さな恋のメロディ』の後、コピーライターの仕事を辞め、映画の道へ進もうとするが、少ないキャリアゆえにしばらくチャンスに恵まれず、CMの監督などで食いつないでいた。そんなパーカーが満を持して長編監督デビューしたのが、1976年の『ダウンタウン物語』。製作総指揮は、盟友のデヴィッド・パットナムである。当時14歳だったジョディ・フォスターなどキャストは全員子役という異例のミュージカル映画は評判を呼び、続く監督第2作の『ミッドナイト・エクスプレス』(これもパットナム製作)が、自身の監督賞を含めてアカデミー賞で6部門ノミネートされ、うち2部門受賞を達成。世界的な一流監督の仲間入りを果たすことになる。



『小さな恋のメロディ』© Photofest / Getty Images 


 そんなアラン・パーカーのキャリアを振り返ると、『小さな恋のメロディ』での経験が要所で生かされてきたことに気づく。社会派や人間ドラマも得意なパーカーだが、何と言っても「映像+音楽」の達人という特徴が際立っているからだ。NYの芸術専門学校を舞台にした『フェーム』での路上や食堂でのダンスシーン、バンドの結成を描いた『ザ・コミットメンツ』でのライブシーンの盛り上がりなど、音楽がキーポイントになる作品では演出が冴えわたる。ミュージカルの『エビータ』も同様で、主人公のエヴァがブエノスアイレスへ向かう列車のシーンの演出など、異様なほどの高揚感はアラン・パーカーならでは。


 知られざる傑作は『ピンク・フロイド ザ・ウォール』で、名アルバムの曲に乗せながら、ほぼセリフなしで展開するMTVの超ロングバージョンのような野心的な作り。映像にもアニメが使われたり、ショッキングな演出もあったりとカルト系テイストなのだが、アラン・パーカーの「音楽+映像」の並々ならぬ才気が溢れており、『小さな恋のメロディ』にその原点をたどることも可能ではないだろうか。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 小さな恋のメロディ
  4. 『小さな恋のメロディ』アラン・パーカーの「原点」、そして今も残る「原点」のロケ地