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『スパイダーマン:ホームカミング』が復活させたジョン・ヒューズ青春映画の名作 溢れまくる80年代愛!

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『スパイダーマン:ホームカミング』が復活させたジョン・ヒューズ青春映画の名作 溢れまくる80年代愛!

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『フェリスはある朝突然に』を堂々と模倣



 やや話はそれたが、『スパイダーマン:ホームカミング』と『デッドプール』をつなぐ、もうひとつの要素がある。それは、1980年代の傑作『フェリスはある朝突然に』だ。


 『デッドプール』には数々の映画のオマージュ、パロディが詰まっていたが、エンドロールに挿入されていたのが『フェリスはある朝突然に』とそっくりなシーン。フェリスと同じバスローブを着たデッドプールが観客に話しかけるという、まんまの設定が笑えた。しかもエンドロールという位置も同じ!


 そして『スパイダーマン:ホームカミング』のエンドクレジットに目を凝らすと、最後のcourtesyに『フェリス』のタイトルが書かれている。courtesyとは、劇中でその作品の映像が使われたり、明らかに参考にされたりした場合、明記されるもの。『スパイダーマン:ホームカミング』では、『フェリスはある朝突然に』のシークエンスをかなり完璧に模倣しているのだ。


 ズル休みをしたフェリスが、親や教師にバレないように慌てて自宅に戻るクライマックス。郊外の住宅地でスパイダーマンが敵の一味を追いかけるシーンで、これが再現される。焦っているはずなのに見知らぬ住人にきちんと挨拶する描写もそのまま!


 その他にもトニー・スタークからピーター・パーカーへのセリフに、軽いオマージュが盛り込まれていたりするが、特筆すべきは、全体のトーンが共通している点だ。両作の主人公、フェリス・ビューラーとピーター・パーカーの類似性がその典型例。2人とも何かと自由に時間を使いたい高校生で、他人に何を言われても気にしないタイプ。


 こうした類似性が際立つ理由は、『ホームカミング』のジョン・ワッツ監督が、『フェリス』や『ブレックファスト・クラブ』といったジョン・ヒューズ監督作を、トム・ホランド以下、高校生役のキャストに何度も観るように指示し、その空気感を身体にしみ込ませたから。


 そう考えると『ホームカミング』での、ピーター(やんちゃな主人公)、リズ(ピーターが思いを寄せる先輩女子)、ネッド(オタクな親友)、ミシェル(傍観者のクール女子)、フラッシュ(ピーターをライバル視)というメイン5人の仲間は、『ブレックファスト・クラブ』の、体育会系、お嬢さま、天才、マイペース女子、不良という5人にぴったり当てはまる。キャストたちが、『ブレックファスト・クラブ』で自分に相応するキャラクターを参考にしたのは間違いない。



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