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『ザ・コミットメンツ』バンド映画最大の魅力「ホロ苦さ」を体現した出演者たち

© Photofest / Getty Images

『ザ・コミットメンツ』バンド映画最大の魅力「ホロ苦さ」を体現した出演者たち

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アイルランド現地のミュージシャンをオーディション



 ジミーがメンバー募集に集まった人々を選別したように、『ザ・コミットメンツ』のアラン・パーカー監督はメインキャスト12人を決めるために、物語の舞台となるダブリンでオーディションを行った。キャスティング担当が2ヶ月間かけて、ヘビメタからフォークまであらゆるジャンルの64ものバンドをピックアップ。彼らに10分間隔で演奏させ、そこからまず約50名を選んだという。さらに劇中で使う候補となった曲を演奏させるなどして、一役について3名の候補者に絞り込んだ。


 オーディションの終盤、とびこんできた才能が、リードヴォーカル役のデコに選ばれたアンドリュー・ストロングだ。候補曲を演奏するセッション・バンドの一員であったロブ・ストロングの息子ということで、「ムスタング・サリー」を歌ってもらったところ、アラン・パーカー監督は彼の歌唱力に度肝を抜かれ、その場で役に決まった。当時アンドリューは、まだ16歳だった。


 正規のオーディション以外で選ばれたのは、もう一人。最年長のトランペット担当、ジョーイを任されたジョニー・マーフィは、舞台を観劇中にキャスティング担当にスカウトされたそうだ。


 最終的に「ザ・コミットメンツ」のメンバー12人に決まったのは、ジョーイ役のジョニー・マーフィ、コーラスのバーニー役のブロナー・ギャラガーの2名の演技経験者を除いて、全員がミュージシャンだった。その後、劇中で演奏する全24曲のリハーサルに加え、演技のトレーニングが行われた。完成した映像を観ると、全員がまるで演技経験者のように完全に役に入り込んでいるのは驚くばかりだ。



『ザ・コミットメンツ』© Photofest / Getty Images


 バンド映画の多くが、仲違いや解散という切実なラスト、あるいは「懐かしい思い出だった」というノスタルジーを伴って幕を閉じる。この『ザ・コミットメンツ』も例外ではない。バンド解散後、メンバーがどうなったのかを、マネージャーのジミーが解説するシーンは、今作を観た人の脳裏にやきついていることだろう。バンド映画ではないが、1973年の『アメリカン・グラフィティ』が好例なように、登場人物の「その後」が紹介されるのは青春映画の定番スタイルでもある。



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