1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. デス・レース2000年
  4. 『デス・レース2000年』未来を予見した超カルト作が愛される理由は“ブラック・コメディ”にあった!?
『デス・レース2000年』未来を予見した超カルト作が愛される理由は“ブラック・コメディ”にあった!?

(C) 1975 New World Productions Inc. All Rights Reserved.

『デス・レース2000年』未来を予見した超カルト作が愛される理由は“ブラック・コメディ”にあった!?

PAGES


『デス・レース』と似てる? 生き残りを賭けて戦う『ハンガー・ゲーム』



 ちなみに「独裁国家」、「大統領」、そして「逃げ場のない殺し合いゲーム」という要素に激しく呼応する作品として、ジェニファー・ローレンス主演の『ハンガー・ゲーム』(12~15)シリーズがある。未来社会、かつてアメリカと呼ばれた地域に広がる国家パネムを舞台に、12歳から18歳までの中から選抜された青少年たちが、全国に生中継される中で知力と体力を駆使したバトル・ロワイヤルを繰り広げる物語だ。


 原作からして大ブームを巻き起こした作品ではあるものの、私は本作を観ながら終始『デス・レース2000年』の影響が香っているような気がしてならなかった。ここにも人間の暴力性に関するテーマが根強く刻まれ、なおかつ扇動するマスメディアや権力者の圧政を逆手にとって、あわよくば天地をひっくり返そうとする主人公の執念が見え隠れするからだ。


また、それを言うならば『グラディエーター』(00)の中で剣闘士たちが殺しあう様やそれに熱狂する観客の姿にだってこれと似たテイストがあるし、つまるところ、この手の題材には古代から受け継がれた同じ“暴力性”の血液が絶えず流れているのかもしれない。


これからも人類が生き続ける限り、こういった「殺し合い」の映画は量産され続けていくだろうし、それらに触れるたびに我々は、今どこか時空の狭間から『デス・レース2000年』のエンジン音がかすかに聞こえたような、そんな不可思議な思いにとらわれることになるのだろう。




文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。 



今すぐ観る


作品情報を見る



(C) 1975 New World Productions Inc. All Rights Reserved.

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. デス・レース2000年
  4. 『デス・レース2000年』未来を予見した超カルト作が愛される理由は“ブラック・コメディ”にあった!?