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「AKIRA」「童夢」にドイツ表現主義まで!SF怪作『ダークシティ』の世界観に影響を与えたものとは?

© Photofest / Getty Images

「AKIRA」「童夢」にドイツ表現主義まで!SF怪作『ダークシティ』の世界観に影響を与えたものとは?

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『ダークシティ』あらすじ

凄惨な殺人現場で、記憶をなくした状態で目覚めたジョン・マードック(ルーファス・シーウェル)は、やがて自分が、警察や彼の妻だと名乗る女など、様々な者に追われていることを知る。その中には青ざめた顔の謎めいた男の一団がいて、どうやらこの街――そして住人――は、すべて彼らに支配されているらしかった。


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ファンをざわつかせた『マトリックス』との共通性



 1999年に公開された『マトリックス』は、今考えても映画の常識を覆す鮮烈な映画だった。ハリウッドのメインストリームでは97年の『タイタニック』、98年の『アルマゲドン』といった超大作がボックスオフィスを席巻し、もはや映画にこれ以上の伸びしろなんて無いように思えた矢先、『マトリックス』が革新的な発想で限界の壁を越えてきたのだ。


 だが一方、このセンセーションを複雑な思いで眺めやる映画ファンたちもいた。彼らの心をモヤモヤとさせた理由はただ一つ。それは「確かに『マトリックス』は面白いが・・・このストーリー、1年前に公開された“とある映画”によく似ているんだよなあ・・・」というもの。もちろん懸案の一作とは『ダークシティ』に他ならない。



『ダークシティ』© Photofest / Getty Images


 なるほど、いずれも「なぜ、気づかない?」系の映画であり、我々が暮らす日常世界の虚構性を暴き出すプロットもよく似ている。さらには闇に包まれた世界観やセット美術、それにカメラワークなどに関する類似性の指摘もあるほどだ。


 なぜ両作はこれほど似ているのか。偶然なのか、それとも意図的なのか。その根本的な原因は未だによく分からない。ただし、両作はともにオーストラリアに新設されたフォックス・スタジオにて撮影されており、一説によると、先に撮った『ダークシティ』のセットの一部が『マトリックス』でも使用されているのだそうだ。


 また、プロデューサーのアンドリュー・メイソンを始め、複数のスタッフがこの狭い業界内で両作を兼任しているという事実もある。そういった意味では両者は、どこか“遠い親戚”のような関係とも言えるのかもしれない。


 ちなみに特殊効果の専門家であり、カラーリストとしても知られるピーター・ドイルのインタビュー記事(参照1)によると、アンディ&ラリー・ウォシャウスキー監督(旧名)は二人して公開前の『ダークシティ』を試写したことがあるようだ。でもだからといってこの作品に影響を受けているというわけではなく、ウォシャウスキー監督はこれまで一貫して影響を受けた可能性については否定している。



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