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『ボヘミアン・ラプソディ』「伝説」となったクイーンの、2回のターニングポイントとは!?

© 2018 Twentieth Century Fox

『ボヘミアン・ラプソディ』「伝説」となったクイーンの、2回のターニングポイントとは!?

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記録的ヒットの後も映画で復活し、現代まで聴き継がれる



 常識を覆す曲のスタイルと、革新的PVの効果もあって、「ボヘミアン・ラプソディ」は、イギリスで9週連続ナンバーワンという信じがたい記録を達成。1992年の映画『ウェインズ・ワールド』に使われたことで人気が再燃した。同作の車の中のシーンで、「ボヘミアン・ラプソディ」に合わせて、主演のマイク・マイヤーズとダナ・カーヴィらが頭を上下に大きく振るのだが、今回の映画『ボヘミアン・ラプソディ』でそのマイク・マイヤーズが、レコード会社の大物として登場。「ボヘミアン・ラプソディ」に対し、「車で聴いて、頭を思い切り振れるような曲じゃなくちゃダメだ」とダメ出しするのは、『ウェインズ・ワールド』への笑えるオマージュになっている。



『ボヘミアン・ラプソディ』© 2018 Twentieth Century Fox


 『ウェインズ・ワールド』の車内での合唱でも強調されたように、「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞には謎の固有名詞(人物名)が出てくる。「ガリレオ」は有名な天文学者だが、「スカラムーシュ」は17世紀のヨーロッパで知られた道化師の名前。「フィガロ」はオペラ「フィガロの結婚」の登場人物。「ベルゼブブ」は新約聖書の悪霊の君主。そして「ビスミラ」はイスラム教のコーランからの引用である。そう考えると、スカラムーシュはフレディ・マーキュリーを、そしてガリレオは天文学者の顔をもつブライアン・メイを象徴しているのは間違いない。


 さらに前半の歌詞にある「ママ、僕はひとりの男を殺したところだ」という部分に、フレディの「カムアウト」が込められた説もある。女性の恋人、メアリー・オースティンとの関係を続けながら、ちょうど「ボヘミアン・ラプソディ」を作っていた頃に、フレディは彼女に自分のセクシュアリティを告白したとされる。過去の自分を「殺し」、正直な自分として生きようという思いが込められている、と解釈する人は多い。


 「ボヘミアン・ラプソディ」のほかにも、アルバム「オペラ座の夜」には名曲が多い。「ラブ・オブ・マイ・ライフ」は、後にサンパウロのスタジアムでのコンサートで10万人以上の観客が大合唱した名バラードで、不思議な楽器の音色(じつはフレディやロジャー・テイラーの声だったりする)を使った「シーサイド・ランデヴー」は、その間奏が「ひらけ!ポンキッキ」のアニメのバックに流れ、当時(70年代)の日本の子供たちが無意識に耳にしていたのである。


「ラブ・オブ・マイ・ライフ」


 その後も「伝説のチャンピオン」「地獄へ道づれ」「レディオ・ガ・ガ」などヒット曲を生み出したクイーンだが、同時にさまざまな危機も迎えていた。クイーンは、メンバー4人すべてがソングライターとして曲を作るので、それぞれが受け取る印税収入も、手がけた曲の数と売れ行きで支払われ、メンバー間で格差が生じた。その不公平感が軋轢を生み、何度も解散の危機が訪れ、最終的にはメンバーで等分することで和解する。


「伝説のチャンピオン」



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