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『ワンダーウーマン』時代設定を変えたのは何故?大胆な決断に込められた二つの狙い

(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『ワンダーウーマン』時代設定を変えたのは何故?大胆な決断に込められた二つの狙い

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『ワンダーウーマン』あらすじ

女性だけが暮らすアマゾン族の島に生まれ育ったプリセンスのダイアナ。最強の戦士になるべく、日々過酷な訓練に打ち込んでいた。そんなある日、外界から隔絶されているその島に、アメリカ人パイロット、スティーブ・トレバーが乗る飛行機が不時着する。初めて見る男の姿に興味津々のダイアナだったが、スティーブから外の世界では大きな戦争が勃発し、ドイツ軍が開発中の兵器によって破滅の危機が迫っていることを知る。そこで自らドイツ軍の恐るべき野望を阻止すべく、スティーブとともに島から旅立ち、イギリスへと渡ったダイアナだったが…。


Index


    映画界で快挙を成し遂げた女性監督パティ・ジェンキンス



     アメリカで公開されるや、瞬く間に高評価の嵐が吹き荒れ、多くの観客を巻き込んだ大ブームを巻き起こした本作『ワンダーウーマン』。本作は画期的な女性ヒーローが悪を駆逐する爽快な一撃でありながら、そのストーリーや製作背景において実に多くの人たちが試行錯誤し、それぞれの戦いを重ねてきた歴史とも言えよう。


     そもそも、この映画版の企画が最初に立ち上げられたのは1996年だったというから驚きだ。当初はアイヴァン・ライトマンやジョシュ・ウェドン、ミシェル・マクラーレンなどの名が監督として挙がったほか、後年にはキャスリン・ビグロー、キャサリン・ハードウィック、カリン・クサマ、ジュリー・テイモア、アンジェリーナ・ジョリーなども候補者に昇り検討が重ねられた。ここに並ぶ名前を見ても、スタジオ側の考えとして「女性監督の手で女性ヒーロー映画を!」という強い思いがあったことは明らかだ。なるほどこれまでにも『スーパーガール』(84)、『キャットウーマン』(04)、『エレクトラ』(05)などの女性ヒーロー映画はあったものの、どれもが男性監督によって作られ、いずれも低評価に終わってきた。こういった過去を払拭してヒーロー界に新たな流れをもたらしたいという切望があったのだろう。


     その中で最終的にこの大役を担うことになるのがパティ・ジェンキンスである。幼い頃からスーパーマンやワンダーウーマンに心奪われながら育ってきたという彼女は、シャーリーズ・セロン主演の衝撃作『モンスター』(04)で高評価を獲得した直後に『ワンダーウーマン』の打診を受けたものの、出産のためにこれを辞退した経緯があったとか。その後、子育てが一段落した彼女にもう再度チャンスが訪れ、その結果、ワーナーとジェンキンスの双方は長年の夢を共に掴み取ることになる。


     リベラルな考え方で知られるハリウッドだが、今なお女性の映画監督が占める割合はまだまだ少なく、女優のギャランティなどに関しても男優に比べて低いことがよく取りざたされる。男女平等な世の中を目指す中で、パティ・ジェンキンスという才能の台頭、そして彼女が築き上げた成功は、まさに映画界のワンダーウーマン的な位置づけと言っても過言ではない。結果、ジェンキンスは本作において「実写映画の女性監督」として史上1位となる興収を叩き出し、現在、その世界興収を8億ドル強にまで高めている。まさに文字通り、歴史を切り開く存在となったわけだ。



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