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『ヒューゴの不思議な発明』 実は3Dの超マニアだったマーティン・スコセッシ!

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『ヒューゴの不思議な発明』 実は3Dの超マニアだったマーティン・スコセッシ!

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『ヒューゴの不思議な発明』あらすじ

1930年代のフランス、パリ。父を火事で失ったヒューゴは駅の時計台に隠れ住み、駅の時計のネジを巻いて毎日を過ごしていた。ひとりぼっちのヒューゴの唯一の友達は、亡き父が遺した壊れたままの“機械人形”。その秘密を探るうちに、ヒューゴは機械人形の修理に必要な<ハートの鍵>を持った少女イザベルと、過去の夢を捨ててしまった老人ジョルジュに出逢う。そして、ヒューゴの機械人形には、それぞれの人生と世界の運命をも変えてしまう秘密のメッセージが隠されていることを知る。機械人形に導かれて、ヒューゴの世界を修理するための冒険が今、始まる。


Index


巨匠とニューメディアの関係



 『アバター』(09)の興行的成功で、各映画会社は収益を増やすために、3D映画の本数を劇的に増加させた。そして、後述する50年代の第一次ブーム、『13日の金曜日Part3』(82)や『ジョーズ3』(83)に代表される80年代の第二次ブームに続く、第三次3D映画ブームが到来する。しかし中には監督が望んでいないのに、ムリヤリ3Dにさせたと思われる作品も少なくなかった。


 だがその狂騒の中で、ヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダース、ジャン=リュック・ゴダールといった監督たちが、相次いで3Dの企画を発表した時は、かなりの驚きだった。なぜなら彼らは、伝統的な映画技法にこだわってもおかしくない、作家性の強い巨匠だからである。


 特に、今回取り上げる『ヒューゴの不思議な発明』(11)を監督したマーティン・スコセッシは、古い映画フィルムの修復・保存活動を行う非営利団体「The Film Foundation」の会長も務めており、もっとも映像メディアに対して保守的なイメージがある。


 だが、そもそもデジタルシネマというアイデアの原型を発想したのは、スコセッシ本人なのだ。というのも、70年代末にカラーフィルムの退色が問題となり、スコセッシはメーカーへの抗議の意味を込めて『レイジング・ブル』(80)を白黒(一部カラー)フィルムで撮影している。


『レイジング・ブル』予告


 彼はこの時、もう1つの解決策を探るべく、当時NHKの為ケ谷秀一氏(現・女子美術大学評議員)に「NHKは、退色しないハイビジョンと言う新しい映像システムを開発しているということだが、見せてもらえないか」という問い合わせをしていた。まだこの時ハイビジョンは、映画制作用にはトータルシステムとして技術的に未熟だったため、採用には至っていない。だがスコセッシの先見性には驚かされるし、同時に長く映画を保存し続けることの重要性を彼が強く感じていたと理解できる。



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