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『007 スカイフォール』『ミッション:インポッシブル』と刺激しあって切り開く、スパイ映画の新時代

SKYFALL(C)2013 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc.

『007 スカイフォール』『ミッション:インポッシブル』と刺激しあって切り開く、スパイ映画の新時代

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『007 スカイフォール』あらすじ

トルコ イスタンブール。MI6(英国情報局秘密情報部)のエージェント007ジェームズ・ボンドは、各地で潜入捜査をしているNATOの諜報部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵を追跡し、その組織をあと少しのところまで追い詰める。しかし、あと一歩まで迫ったところで、先に潜入していた同僚エージェント ロンソンが傷を負ってしまう。そんな中、上司のMは非情にも敵の追跡を最優先にするよう指令を下す。後から駆け付けたアシスタントエージェント イヴと共に、敵を追跡するボンドだったが……。


Index


冷戦下に誕生した、歴史と伝統の2大スパイシリーズ



 あらゆるスパイアクションの代表格と言っても過言ではない「007」シリーズ。その全ての起点となったのは、軍人、ジャーナリスト、そして自らも元スパイという経歴を持つ作家イアン・フレミングが1953年に発表した小説「カジノ・ロワイヤル」だった。


 深い傷跡を残した世界大戦から8年あまりが過ぎ、表向きは平和が回復されたかに思える一方、しかし水面下では相変わらず様々な一触即発の事態が横たわっていた。その危険地帯へ乗り込んでいくのがスパイの役目。「007」の原作シリーズが徐々に人気を博していく背景には、このような世界情勢を見据えたリアリティと、読み手をハラハラドキドキさせる創造性との絶妙なるコンビネーションが介在していた。


 そして「見えない脅威」がふと水面から顔を出し、人々を震撼させた事件こそ、1962年の10月に起こったキューバ危機だ。奇しくも007シリーズの映画第一弾『ドクター・ノオ』がイギリスで公開されたのも全く同時期のこと。これを機に人々が「見えない世界」や「見えない敵」といったものをより強く意識するようになったことは想像に難くない。



『007 スカイフォール』SKYFALL(C)2013 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc.


 こういった時勢の中、007映画は新作を重ねるたびに大ヒットを記録していく。並行して、60年代中頃からはスパイや特殊エージェントを扱った映画作品やTVシリーズなども数多く産声をあげた。この一つとして、ブルース・ゲラーが着想して66年に米ネットワークでTV放送開始されたのが「スパイ大作戦」。のちにトム・クルーズが製作、主演する映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの元祖にあたる作品である。


 『007 スカイフォール』(12)が「映画シリーズ誕生50周年記念作」と銘打たれていたのは別の記事で触れた通りだが、『ミッション:インポッシブル』シリーズもまた、今やTV版「スパイ大作戦」から数えれば誕生50周年を超えている。激変する時代の中、うまくその形をしなやかに適応させてきた両者は、まさに英米を代表する格好のライバルと言えるだろう。



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