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『E.T.』スピルバーグの自伝的SFファンタジー、その着想の裏側とは?

(c)Photofest / Getty Images

『E.T.』スピルバーグの自伝的SFファンタジー、その着想の裏側とは?

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歴史に残るSF名作が生まれたきっかけ



 スピルバーグは時として、振り子のように映画作りを行う。一度こちら側に振り切れたかと思うと、今度はその反動を使って、ブンッ!と正反対のジャンルへ振り切れる。例えば『ジュラシック・パーク』(93)と『シンドラーのリスト』(93)が同時期に制作されたのも有名な話だし、『レディ・プレイヤー1』(18)と『ペンタゴン・ペーパーズ』(17)も代表的な一つ。そしてこの『E.T.』も、エンタメ大作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)の反動で、その感性の針を極めてセンシティブなところへ振り切った作品だ。


 着想の瞬間は半ば唐突に舞い降りた。場所は『レイダース』の撮影地、チュニジア。故郷から遠く離れたところで慣れない生活を続けるスピルバーグは、昼間は当然ながら激務に追われ、夜は一転して話し相手、遊び相手が全くいない孤独感に苛まれていたという。そんな中、ふと「故郷を失ったエイリアン」という着想が頭をよぎることとなる。



『E.T.』(C) 1982 & 2002 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED. 


 これには過去の様々な要素が結びついていた。例えば『未知との遭遇』の続編として、監督・脚本家のジョン・セイルズと構想を練りながらもボツになった”Night Skies”のアイディアが残っていたり、自分が寂しい時にこっそり話し相手になってくれるような“想像上の生き物”について思いを馳せたことがベースとなっていたり、さらには『未知との遭遇』の中で90秒間だけ登場するエイリアンのイメージなども絡まりあいながら、徐々にすべてが相まって丸く膨らんでいったというべきか。


 そうやって「10歳の少年と孤独なエイリアンが、互いに互いを必要とし、徐々に心を通じあわせていく」というストーリーらしきものが固まっていった。



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