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『天国から来たチャンピオン』「映画がつく嘘」で陶酔させる

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『天国から来たチャンピオン』「映画がつく嘘」で陶酔させる

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ハーフタイムで撮影されたスーパーボウルのシーン



 『幽霊紐育を歩く』では、サックスを大切にするプロボクサーが飛行機事故で亡くなり、天国への中継地で地上に返されるが、『天国から来たチャンピオン』は、サックス好きのアメフト選手が交通事故に遭う。当初はモハメド・アリを主演に迎え、ボクサーのままでリメイクされる予定だったが、アリは現役だったのでスケジュールの調整がつかずに断念。共同監督のウォーレン・ベイティが主演を兼ね、彼自身がボクシングよりは得意というアメリカンフットボールに変更された。タイトルも最初は『Here Comes Mr. Jordan』だったが、後にオリジナル戯曲と同じものに変更された。


 『天国から来たチャンピオン』の2年後の1980年、『地上に降りた女神』が、オリビア・ニュートン・ジョン主演の『ザナドゥ』としてリメイクされる。さらに『天国から来たチャンピオン』は2001年、クリス・ロック主演『天国からきたチャンピオン 2002』としてリメイクされ、この原題が『Down to Earth』。1947年の『地上に降りた女神』と同じ……と少々ややこしいタイトル事情である。



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 ちなみに『Here Comes Mr. Jordan』の「ミスター・ジョーダン」は、天国への中継地の係官の名前。『天国から来たチャンピオン』で監督のウォーレン・ベイティは、このジョーダン役に、すでに現役を退いていたケイリー・グラントを熱望。なんとかスクリーンに復活させようと、彼の元妻であるダイアン・キャノンをまずキャスティングして、説得の後押しにしようとしたが、グラントは頑なに拒否したという。ケイリー・グラントは『幽霊紐育を歩く』でも最初に主演候補に上がっていた「因縁」もある。


 結果的にジョーダン役はジェームズ・メイソンが演じた。そして大富豪の悪妻を演じたダイアン・キャノンはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。


 『天国から来たチャンピオン』の主人公、ジョー・ペンドルトンはロサンゼルス・ラムズのクォーターバック。劇中にはアメリカ最大のスポーツイベントである、スーパーボウルのシーンも登場する。CGは使われない時代の作品にもかかわらず、スタジアムには大観衆が映っている。これはラムズとロサンゼルス・チャージャーズのゲーム(プレシーズン)のハーフタイムを借りて撮影されたからだ。ロサンゼルス・ラムズの元選手が何人もカメオ出演で協力した。


 映画から2年後の1980年、ラムズは現実のスーパーボウルへの進出を果たした。ピッツバーグ・スティーラーズと対戦したが、結果は31-19でスティーラーズの勝利だった。



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