1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. パシフィック・リム
  4. 『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット
『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット

(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.

『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット

PAGES


プロレスとも重なる、メキシコ人の怪獣への共感



 メキシコ人のギレルモ・デル・トロが、なぜ日本の怪獣のファンになったのか? 彼の少年時代、メキシコでは日本の子供向けのTV番組が数多く放映されていたからだ。カトリック教育になじめず、クラス内でいじめにも遭ったギレルモ少年が、多くの日本の番組に救われたことは、何度もインタビューで語っているとおり。日本の作品のなかでも「鉄人28号」「マグマ大使」「コメットさん」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などがお気に入りだった。



『パシフィック・リム』(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.


 さらにギレルモが強調するのは、日本とメキシコの「怪獣観」の近さである。西洋文化でモンスターは基本的に「悪」だが、日本では怪獣が文化として根付き、愛着がある存在であることをギレルモは力説する。「悪者」というより、地震や竜巻のような自然災害として受け止めている、というのだ。


 またメキシコではプロレスが盛んで、国民気質として悪役レスラーを愛する土壌もある。それゆえに「ゴジラ対◯◯」などの映画を、プロレスのように楽しんでしまうという。


 「モンスターが好き」と胸を張って言える日本の文化に惹かれるギレルモは、浦沢直樹の「MONSTER」実写化のプロジェクトを長年、進めているなど、『パシフィック・リム』以降も日本カルチャーとハリウッドの架け橋役を自認する。オスカー監督になって、その役割はなかなか難しくなってきているが、「尊敬するラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)のように日本に移住するのが夢」という彼の言葉が、いつの日か現実になることを祈るのみだ。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。



今すぐ観る



作品情報を見る




『パシフィック・リム』

ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税

ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

(c) 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary. All rights reserved.

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. パシフィック・リム
  4. 『パシフィック・リム』にみるギレルモ・デル・トロの日本カルチャー愛。徹底的にこだわった“KAIJU”とロボット