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『あの頃ペニー・レインと』弱冠15歳で音楽ジャーナリスト。映画監督キャメロン・クロウの珠玉の自伝映画

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『あの頃ペニー・レインと』弱冠15歳で音楽ジャーナリスト。映画監督キャメロン・クロウの珠玉の自伝映画

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劇中バンド「スティルウォーター」の元ネタはこれだ!



 もっとも映画では主人公の少年の名前がキャメロン・クロウではなく、ウィリアム・ミラー(演者はパトリック・フュジット)となっているように、重要な固有名詞の一部は別の名前に変更されている。だが、そのモデルについては(諸説ありつつも)クロウ自身が隠さず明言している。2001年に刊行されたスクリプト本(キャメロン・クロウ著、岡山徹訳『あの頃ペニー・レインと』マクミラン ランゲージハウス刊)に掲載されている、英国『ガーディアン』紙の記者アンドリュー・パルバーによるインタビューから引いてみよう。


 ウィリアムがツアーに同行することになるバンド「スティルウォーター」は、オールマン・ブラザーズ・バンドがモデル。そのカリスマ的な看板ギタリストのラッセル(ビリー・クラダップ)は、デュアン・オールマンとエリック・クラプトンを足して二で割ったようなキャラクター・イメージらしい。ただしデュアン・オールマンは1971年の時点でオートバイ事故により亡くなっているため、このへんはフィクショナルな操作が入っている部分だ。ルックス的にはジョージ・ハリスンやジェームズ・テイラーの雰囲気も入っている。ちなみに別のソースによればイーグルスのグレン・フライがモデルという説もあり、クロウが最初にツアー同行したバンドはポコだったという。またヴォーカルのジェフ(ジェイソン・リー)は、フリーのポール・ロジャースにステージ・パフォーマンスを似せている。


 さらにスティルウォーターが劇中で演奏する楽曲群は、クロウと彼の妻であるナンシー・ウィルソン(ロックバンド、ハートのギタリスト)、ピーター・フランプトンにより作られたもので、「バッド・カンパニーとジェスロ・タルの中間」みたいなイメージを狙ったという。


 こうして見ると、キャメロン・クロウは少年時代の記憶を編み直しながら、複数の要素を再構成し、1970年代前半のロックシーンのある断面を一本の映画にぎゅっと凝縮しようとしている趣だ。



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