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『ガタカ』運命は遺伝子を超える。切なさに満ちた傑作SF

(c)Photofest / Getty Images

『ガタカ』運命は遺伝子を超える。切なさに満ちた傑作SF

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『ガタカ』あらすじ

遺伝子操作により管理された近未来。ここではすべての人間が「適正者」と「不適正者」に分類される。ビンセントは宇宙飛行士を夢見ていたが「不適正者」ではかなわぬ夢だった。しかし、彼は自分の夢を叶えるためDNAブローカ一からジェローム・モローという「適正者」のIDを買い取る。ジェロームの遺伝子を手に入れたビンセントは、タイタン探査船の航海士に選ばれる。だが、探査船の出発が間近となったある日、ビンセントの上司が何者かに殺される。事件現場からはビンセントの髪の毛が発見され、正体発覚の窮地に立たされる。


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SF映画の主流とは外れた「異質な存在」



遺伝子が僕に背いても、夢を諦めない。

身分を偽っても、心は僕のままでいる。


 デザイン性の高さ、繊細な世界観、そして何より信念の尊さ。本作は、1997年の公開(日本公開は翌98年)以来、多くの人々の「心の聖火」となってきた。遺伝子至上主義の近未来で「欠陥品」の烙印を押されながらも、宇宙飛行士になる夢に向かって努力し続ける青年の姿を追ったSFドラマ。夢をかなえるために手を組んだ相棒との切ない友情、命がけの「身分詐称」を描くサスペンス、エリートを宿命づけられた弟との確執、本当の自分を隠した女性との恋愛、そして鑑賞後に押し寄せる深い余韻――人生の礎となるべき名作だ。


 まずは、本作が全米公開された1997年の映画を振り返ってみよう。SFに絞ってみても『フィフス・エレメント』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『メン・イン・ブラック』『コンタクト』『エイリアン4』と派手な作品が並ぶなか、本作は特異な存在だった。95年には『12モンキーズ』や『ウォーターワールド』、96年には『インデペンデンス・デイ』が公開された点からみても、『ガタカ』は当時のSF映画の主流からは大きく外れた映画だったといえるだろう。


『ガタカ』予告


 興行収入ランキングを見てみると、5位デビューの後、9位、13位と下がっており、製作費概算3,600万ドルに対して国内興収は1,253万ドル(参照:Box Office Mojo)。SNSが発展した今なら確実にバズりそうな作品だが、興行的には完全に赤字だったようだ。


 日本公開は98年の5月で、『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)と同時期公開。当時10歳だった僕がこの映画に出会うのは、5~6年先の話だ。そのため当時の空気を語ることはできないのだが、レンタルビデオ屋で手に取った理由はSFだからではなく芸術性に惹かれたからで、当時劇場に足を運んだ方々も、似たような動機だったのではないかと思う。


 しかし、興行的に振るわなかったからといって、本作の評価が低いかといえば、全くそうではない。2011年にはNASAが選ぶ「現実的なSF映画」第1位に選出され、映画や漫画、アニメ、小説など多くの後続作品に影響を与え続けている。映画ファンのオールタイムベスト投票を行えば、まず間違いなく上位にランクインするだろう。僕自身も10代でこの映画に出会い、瞬く間に「人生の1本」となった。今もなお、その評価は変わらない。


 この世に生まれたときから異端児で、「失敗」のレッテルを貼られてもひたむきに努力し続け、やがて人々を魅了していく――映画『ガタカ』がたどった軌跡は、壁に挑み続ける主人公の姿と重なる。実にドラマティックな類似点だ。



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