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『炎のランナー』これぞスポーツ映画の傑作!“走ること”に全てを賭けた生き様

(C)2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『炎のランナー』これぞスポーツ映画の傑作!“走ること”に全てを賭けた生き様

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製作費が不足する中、ドディ・アルファイドがサポート



 本作は結果的に、イギリスのみならず、アメリカでも多くの絶賛評に支えられ大ヒットを記録。1982年のアカデミー賞授賞式では7部門にノミネートされ、作品賞をはじめ4部門の獲得を果たした。イギリス勢の大躍進を見せつけたのである。


 これだけの快挙を前にするとつい影が薄くなってしまいがちだが、本作を語る上でもう一人欠かせないのが、出資者の一人、ドディ・アルファイドだ。彼は97年にダイアナ元妃とともに自動車事故で亡くなったことでも知られる。思えばこの事故現場もパリだった。


 実は製作当時、プロデューサーのデヴィッド・パットナムが資金繰りを迫られる中、どうしても調達できなくなった金額があったという。この時、思わぬ具合に資金提供の名乗りを上げてくれたのがドディ・アルファイドだった。彼なくして本作の完成はなかったのは当然として、彼の協力は本作に“もう一つの意味”を与えてくれた。それはつまり、この映画がキリスト教の信仰や、エイブラハムスの育ったユダヤ文化(しかし彼は晩年にキリスト教へ改宗したそうだ)を描きつつ、さらにイスラムの協力も得たという事実に他ならない。オリンピックを題材にした映画にふさわしい多様性は、こんなところにも隠されているのである。



『炎のランナー』(C)2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.


 また、イギリスには階級社会が根強く残ることで知られるが、その点、本作の監督は上流階級、プロデューサーは中流、脚本家は労働者階級。様々な出自の才能が垣根なく集まり、共に才気を爆発させた。そうやって各々が物の見方、考え方を決して偏らせることなく、偏見や権威主義への批判を徹底させているところも、この映画がイギリスをはじめ世界中で愛され続ける理由と言えるだろう。文化を知らなければ分かりづらい点はあるものの、2020年の東京オリンピックへ向けて、ぜひ一度は観ておきたいスポーツ映画の傑作である。



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