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リブート版『チャイルド・プレイ』現代テクノロジーの恐怖を描く、新時代のチャッキー映画

(c) 2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved.

リブート版『チャイルド・プレイ』現代テクノロジーの恐怖を描く、新時代のチャッキー映画

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ホラー映画の気鋭が集結した青春スプラッター



 若者たちが交流し、困難を共にする――。本作はホラー/スプラッターであるとともに、ティーンズの活躍を描いた“青春もの”としても非常によくできている。『レディ・プレイヤー1』(18)『ジュマンジ・/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(17)では、少年少女の交流、成長の動機づけとしてビデオゲーム(すなわち仮想空間)が用意されたが、リブート版『チャイルド・プレイ』では青少年たちの交流のきっかけとしてチャッキーが用意されている。そういう意味で、これらの作品はとてもよく似通った部分を持ち合わせているのだ。


 先述の通り、母子世帯のアンディ・バークレーは孤独な内気少年だ。母親のカレンは息子の誕生日プレゼントとして、カスラン社の人気商品バディ人形を贈る。自らをチャッキーと名乗るそれは、最新の音声認識、高解像度カメラなど、高性能システム搭載の最先端人形で、次第にアンディ少年の孤独を満たす大切な友人となっていく。



『チャイルド・プレイ』(c) 2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. 


 チャッキーとの出会いを通じて、アンディ少年は外交的な性格を開花させ、近所の同年代とも友情を育んでいくのだ。これで終われば単なる青春映画だが、そうはいかない。アンディ少年を想っての行動が裏目に出たチャッキーは、少年に対する友情という愛を嫉妬という感情に変えていく。


 アンディ少年の周囲の人物を次々に殺していくチャッキーは、ついにアンディの母親カレンを手にかけようとする。この窮地に立ち向かうべく、アンディをはじめとする少年少女たちは、武装を固めて闘いに挑むのだ。若者たちが恐怖の対象(本作ではチャッキーだ)に闘いを挑むという点では、スティーヴン・キング原作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)を彷彿とさせる(同作ではペニーワイズという恐怖の対象に、若者たちが闘いを挑んだ)。『IT/イット~』とリブート版『チャイルド・プレイ』にはそのほかにもジュブナイルな観点での共通項を感じるだろう。それもそのはずで、本作には『IT/イット~』の製作者、セス・グレアム=スミスとデビッド・カッツェンバーグが名を連ねているからだ。



『チャイルド・プレイ』(c) 2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. 


 また、主人公アンディ役の新鋭ガブリエル・ベイトマンは『アナベル 死霊館の人形』(14)『ライト/オフ』(16)などホラーで実績を積んだ若手俳優だし、さらに監督は新作ホラー『ポラロイド』(19)で注目を浴びるラース・クレヴバーグだ(ちなみに『ポラロイド』はリブート版『チャイルド・プレイ』と同日公開となる)。リブート版『チャイルド・プレイ』はホラー映画の旗手を集めた“青春スプラッター”と形容できるだろう。



文: Hayato Otsuki

1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「リアルサウンド映画部」など。得意分野はアクション、ファンタジー。



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『チャイルド・プレイ』

2019年7月19日(金) 全国ロードショー

配給:東和ピクチャーズ

(c) 2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved. 

CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.


※2019年7月記事掲載時の情報です。

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