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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』タランティーノが万感の想いで描く、映画界の激変期“1969年”へのラブレター

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』タランティーノが万感の想いで描く、映画界の激変期“1969年”へのラブレター

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※2019年7月記事掲載時の情報です。


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。


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タランティーノ史上、最もユニークで感情がこもった傑作



 1969年、ロサンゼルス。半世紀前の映画の都がいま、眩く差し込む陽光のもとで鮮烈に息づき始める。クエンティン・タランティーノにとって9回目の監督作は、タイトルからしてセルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム』シリーズから引用したものであることは明らかだが、かといって荒くれ者やマフィアたちの抗争が延々と繰り広げられる類の映画というわけではない。


 彼はこれまでも脳内に蓄積した映画知識をコペルニクス的発想で融合し発展させ、幾度となく人々を歓喜、驚嘆させてきた。今回は特に執筆に5年をかけただけあり、この街や映画への想いを濃密なまでに注ぎ込み、かつてないほどオリジナルで、まさに「タランティーノ的」としか形容しようのない一大絵巻へと結実させている。


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』予告


 しかも今回組んだプロデューサーは、『ハリー・ポッター』(01-11)シリーズや『パディントン』(14)、『ゼロ・グラビティ』(13)などで知られるデヴィッド・ハイマンというから驚きだ。彼が「クエンティン作品の中でも極めてユニークかつ最も感情がこもった作品」と手放しで称賛するだけあり、本作には映画を愛するあらゆる人の心を打つ、打たずにはいられない、何かしら神がかった力が感じられるほどだ。


 それは2時間41分という長尺の中で変幻自在に形を変え、時に笑わせ、また時に胸を震わせもする。一方、先の展開が皆目予測できないだけに、上映中ずっと頭の片隅で微かなアラーム音が響き続けるのも事実。バックシートに乗り込んだ我々は一体どこに連れて行かれるのか。この映画が終わる頃、我々はどんな表情で席を後にするのだろうか。



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