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『ディリリとパリの時間旅行』巨匠ミッシェル・オスロが描く「ベル・エポック」の神髄

(c) 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFF LIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION

『ディリリとパリの時間旅行』巨匠ミッシェル・オスロが描く「ベル・エポック」の神髄

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※2019年8月記事掲載時の情報です。


『ディリリとパリの時間旅行』あらすじ

ベル・エポックの時代のパリ。 ディリリは、どうしても外国に行ってみたくて、ニューカレドニアから密かに船に乗りパリにやってきた。開催中の博覧会に出演し、偶然出会った配達人のオレルとパリで初めてのバカンスを楽しむ約束をする。その頃、街の人々の話題は少女の誘拐事件で持ちきりだった。男性支配団と名乗る謎の集団が犯人だという。ディリリはオレルが紹介してくれる、パリの有名人たちに出会い、男性支配団について次々に質問していく。


洗濯船でピカソに“悪魔の風車”に男性支配団のアジトがあると聞き、二人は向かうが、そこでオレルは狂犬病の犬に噛まれてしまう。 三輪車に乗ってモンマルトルの丘から猛スピードで坂を下り、パスツール研究所で治療を受け、事なきを得る。オペラ座では稀代のオペラ歌手エマ・カルヴェに紹介され、彼女の失礼な運転手ルブフに出会う。


ある日、男性支配団がロワイヤル通りの宝石店を襲う計画を知った二人は、待ち伏せし強盗を阻止する。その顛末は新聞に顔写真入りで大きく報じられ、一躍有名になったディリリは男性支配団の標的となり、ルブフの裏切りによって誘拐されてしまう。ディリリはオレルたち仲間の力を借りて男性支配団から逃げることができるのか? 誘拐された少女たちの運命は?


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ミッシェル・オスロ監督だけが表現できる世界



 アニメーションにおける世界的な巨匠にしてフランスを代表する鬼才、ミッシェル・オスロ監督は、『キリクと魔女』(98)や『アズールとアスマール』(06)など、様々な時代の様々な国を舞台に傑作を作り上げてきた天才的な映像作家である。そんなオスロ監督が、本作『ディリリとパリの時間旅行』では、ついにパリを舞台に選んだ。しかも1900年パリ万博開催中の“ベル・エポック”の時代である。


 主人公は、ニューカレドニアからやってきた小さな少女ディリリ。そしてディリリと出会った、パリで配達の仕事をしている純真な青年オレル。この二人が、当時のパリの著名人たちの助力を得ながら、パリで発生している少女誘拐事件の謎を追って、ベル・エポックの熱気漂うパリを巡っていく。


『ディリリとパリの時間旅行』予告


 キャラクターたちはCGソフトによってモデリングされているが、背景の多くは、オスロ監督自身が4年間撮りためた写真が使われている。オスロ監督自身が語るところによると、パリ市は今回の取材・写真撮影にはかなり協力してくれたらしく、オペラ座の屋根に登ったり、下水道を自由に探検することも許可されたのだという。


 これらの実写画像は、懐かしさすら感じられる、2D風に描写された人物のCGアニメーションと、意外なほどマッチングしているように感じられる。それは、影絵や切り絵などのアナログな手法を作品にとり入れてきた、オスロ監督ならではの感覚であるといえよう。



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