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子どもの想像を映像にしたい。奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』【Director’s Interview Vol.51】

子どもの想像を映像にしたい。奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』【Director’s Interview Vol.51】

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子どもには脚本を渡さない



Q:本作の出演者はほぼ全員プロの役者さんだと思いますが、その辺も自分で一から当たっていかれたのでしょうか。


奥山:そうですね。基本はオーディションです。オーディションじゃないのは佐伯日菜子さんとチャド・マレーンさんです。それ以外の方々は、企画書と自分が今まで撮ってきたものを見てもらい、興味を持ってもらった方にオーディションに来ていただきました。


Q:子ども達の演技がとてもナチュラルでみずみずしかったのですが、どうやって演出されたのでしょうか。


奥山:とにかく、脚本を渡さなかったのが一番大きいかなと思います。シーンによっては、そもそも脚本を書かなかった箇所もあります。サッカーをするシーンなんかは「サッカーをする」しか書いてないですし、そこで喋ることなどは本人たちに任せました。ただ「任せるから」と伝えてしまうと萎縮してしまうので、カメラを目立たない位置に置いて、気が向いた時にRECできる状況にして、まずは自由に遊んでもらいました。




それまで短編映画をいくつか作る過程で、なるべくカメラの周りに人がいない方がいいなとか、いくつか自分の中で決まりができていたので、それらを活かして撮影していきましたね。


また、是枝裕和監督の作品がすごく好きで、大学の講義にもぐったり、撮影現場を覗かせてもらったりしていたのですが、そこで得たものも大きいのかなと思います。


Q:主人公の由来君は、子どもたちとの掛け合いだけでなく大人とのシーンもあります。その辺はどのように演出されたのでしょうか。


奥山:由来を演じた佐藤結良君はオーディションでも頭一つ抜けていました。オーディションでは、子ども達にロボットのおもちゃを渡して、これで遊んでてって言っただけなんです。その様子をカメラで撮るから、なんか喋りたくなったら、喋ってもいいし、喋りたくなかったら喋らなくてもいいよって伝えて、手持ちのカメラで、わざと邪魔だなと思うぐらい寄ったり引いたりして撮影するんです。そうすると大抵の子はカメラをチラチラ見ちゃったり、もしくはいわゆる子役芝居を始めるんです。「わー、すごーい!これ欲しかったんだー!」みたいな。


それで70人ぐらいみて、最後の方に来たのが結良君でした。彼は聞こえるか聞こえないかくらいの声で、「これどうやるのかな」といったことを、小さな声でボソボソ言ってたんです。それがリアリティあって良いなと思いました。




こちらがお願いしたことも、結良君の場合は本当に自分の気持ちでやってるかのように見えるんです。監督に言われたからやってます。みたいな、そういうのが全く見えない。素敵だなと思いますね。


Q:子どもが主役の映画なのに、演出している感じが見えずとても自然でした。


奥山:映画は子どもと動物を気軽に使うなって、よく言われますよね。それは本当に分かるんです。大人の役者さんと比べると本当に演出の難易度が高いですから。でも、普通はやらない方がいいと言われているようなタブーめいたことも、敢えてやりましたね。子どもが主演ですし、ニワトリも大事な場面で出てきます。



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