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映画を通して手をつなげる社会にしたい。HIKARI監督『37セカンズ』【Director’s Interview Vol.52】

映画を通して手をつなげる社会にしたい。HIKARI監督『37セカンズ』【Director’s Interview Vol.52】

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車椅子生活を送る佳山明さんを主演に



Q:「無名の主演」ということで、実際に車椅子生活を送る佳山明(メイ)さんをキャスティングしました。この選択は重要だったとか。


HIKARI:健常者の役は世の中にいっぱいあるので、今回は彼らをキャスティングする必要がない。絶対にどこかに適役がいるはずだと信じて、日本中の障害者グループやスポーツセンターをまわり、チラシを郵送して貼ってもらったりして、ようやく出会ったのがメイちゃんでした。チャンスを与えれば、映画を観る人に希望をもたらすと思ったのです。前例を作れば、障害者の俳優がさらに他の作品にも出演できるはず。そうした一連の流れを誰もやっていないのであれば、「私がやりましょう!」ってことです(笑)。


Q:タイトルの『37セカンズ』の意味は映画を観て知ってほしいですが、それも含めメイちゃんに出会ってから脚本に加えられた部分もありそうですね。


HIKARI:メイちゃんには双子の姉がいます。双子は難産ですから、2人目が生まれるときに一時的に呼吸が止まったりして、脳性麻痺になる可能性があるそうなんです。こうした障害者の事実はリアルに描かないと指摘されますし、中途半端に向き合ったら、当事者に不快感を与えることになります。私は映画を通して手をつなげる社会にしたいので、自分が発見したことをみんなに知ってほしい気持ちも強かったですね。




Q:メイちゃんを撮影しながら、新たな発見も多かったのでは?


HIKARI:私の祖父母が経営していた鉄工所では、障害をもった人も働いていたんです。だから子供の頃から、身近な存在ではありました。知的障害者の友人も多かった。でもメイちゃんと知り合い、撮影しながら私なりに介助すると、「これはできる」「これは難しい」と、さらに理解が深まりましたね。撮影は怒涛の日々でしたが、その状況でもメイちゃんのナチュラルな部分に敬意を払いながら、ラブホテルのシーンなど、あえて一歩引いてプロの俳優として任せた部分もありました「障害者」とは思わず、「ひとりの女性」として見つめていました。



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