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変わり続ける編集ごとに、膨大な数のデモを作りました。『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』音楽:三宅純【Director’s Interview Vol.56】

変わり続ける編集ごとに、膨大な数のデモを作りました。『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』音楽:三宅純【Director’s Interview Vol.56】

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変わる編集にシンクロさせる困難



Q:物語中盤の、会話から追跡シーンに至る流れでは、カット割りや動き、周囲の状況に合わせて音楽が完全にシンクロしているようでした。今回は編集にかなり修正が入っていたとのことですが、どのように映像に合わせて音楽をつけられたのでしょうか。


三宅:カット変わりのシンクロだけではなく、例えば、会話の間だったりとか、音楽がどの角度から映画を支えるのかということを、いつも強く意識しています。シンクロについていうと、どんな映画も基本はシンクロしているのですが、もちろんそれは編集がフィックスしているのを前提にシンクロするものなんです。ご指摘の通り、今回は途中で編集があまりにも変わるので、かなり大変でした。




編集時には通常、ミュージックエディターと呼ばれる人がいるんです。彼らは、リズムの切れ目がいいところや、音楽的に成立するようなところで繋いでくれるんですね。でも今回はその役目の人がなぜかいなくて、提出したデモをさらに切り刻まれるのですが、音楽を尊重した編集にならなかった。つまり音がズレてるんです。仕方がないからまたその編集に合わせてデモを作り変えるのですが、また編集が変わってどんどんズレてくる。その繰り返しでしたね。


もう埒があかないので、僕が書いた譜面を元に、編集のタイミングに合わせてテンポを細かく調整してくれるオーケストレーターを最後には雇いました。


最終的な曲が決まるまでは、編集も自分で細かくやり直しているので、もう本当にパンチドランカー状態でしたね(笑)。


Q:お話を聞く限り、想像以上に大変な作業だったようですが、実際に完成したサントラの仕上がりの感想はいかがですか?


三宅:純然たるサントラとして聞いた場合、自分としては他の担当させていただいた映画よりも、より映画音楽らしくなっていますね。音楽の出来としては、(画と一緒ではなく)サントラ単体でも、リスニングに耐えうるものになったかなと思います。



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